第2話 ナミダ

何か物語とかドラマとかで 

誰かが救われたとき

それか誰かが死んだとき

人は「泣く」という行為をする


それは何のナミダなんだろう。


感情移入したのか

それとも同情か


悦に入っているだけだとしたら?


物語、あるいはドラマを見て泣いている自分

「ほら、私優しい人でしょう?」

って見せびらかしているように見えて仕方がない


私も泣く。

ドラマを見て

物語を読んで


「感動」ってなんだ?


普段からほぼ無意識のように使ってる単語だけど

正式な意味は知らない




ある二人の少女がいた

Mは強い意志を持った少女。

Aは記憶のない、弱い少女。


MはAを必死に守った。

それはAに隠し事をしているから


AはいつもMに守られていた

それを優しさと思っていた


ある些細なことでAは記憶を知る

そしてMを避けた


それでもMは必死にAを探した

最後まで守り抜くと声を荒げた


Aは無意識にMに駆け寄った


Mはもう歩くことができなかった

そろそろその場所はなくなる

Mはそれを知っていた

必死にAに逃げろと叫んだ


「走れ!!!」


最後の指切り

自分から離れていくAを見つめ、Mは微笑んだ。


最後の約束。

最後の笑顔。


「海、行きたかったなあ」




一度ナミダを流せば

何度見ても同じようなタイミングでナミダは落ちる


私は心が清らかな人間ではない

それなのに友情だとか生温い世界を目の当たりにすると泣いてしまうのだろう


ナミダの意味とは


同情か、感情移入か、自己満足か



ナミダにはいろんな色があった。


悔しさ

嬉しさ

悲しさ

苛立ち

もどかしさ

喜び

切なさ


目から雫を落とせばそれはナミダになる

どんな意味であろうと意味など持っていなくても




最近一番泣いたのは何だろう


「死」への恐怖に怯えて流したそれだろう


どんなに多くの人間に愛されていても

どんなに多くの人間に必要とされていても


その人は「死」を選んだ


理由を聞くことはできない


その人が死んでしまったことに泣いたのではない


少しずつ近くなる「死」という大きな恐怖。

逃れられない運命。


私には胸を張って語れる過去がない。

それを抱えたまま大人になっていつか朽ち果てるのが

今までにないくらい怖かった。


どこからともなくやってきたそれは

一瞬で脳を支配して占領して離れなかった




泣くということ

ナミダするということ


この世界に意味のないものはないと誰かが言っていたけど


ナミダは意味の無いことだと


僕は時々思う。

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