第3話 来訪者

アルファが生き返ってから、俺は色々なことを聞いてみた。


死ぬ前の記憶はあるのか

そのときに意識はあったのか

何を食べるのか

何が苦手なのか

何が好きなのか

何が出きるのか


などなど、本当に様々なことを聞いたのだが、アルファはその一つ一つにゆっくりだが、確実に答えてくれた。


そのなかでわかったことなのだが、本来、スライムは生物ではないらしい。



モンスターとして扱われているが、彼らは自然現象の一種らしい。


なんでも、感覚や意思はなく、ただ、自らの糧になるようなものを探して徘徊するのが常のようなのだ。


そのため、スライム事態は寿命ではなく、消滅という表現の方が正しいらしい。


しかも、普通ならどんなに頑張ってもいつかは消えてしまうような存在らしいのだ。


10日ほどでアルファも消えてしまったが、別に死んだわけではなく、ただその役目を終えて消えただけらしい。


あと、スライムは基本的に死骸や腐った植物なんかを吸収して、存在を保つそうなのだが、生憎この洞窟には死骸はおろか苔すらないため、アルファも存在維持が出来ずに消えてしまったのだと言う。


・・・・・・つまるところ、俺が吸収しまくっていたせいと、この洞窟内にそう言ったものが存在していないことで、アルファたちスライムは消えやすくなっていたらしい。



・・・ごめん

仲間しか出せなくてごめん




俺は、謝罪の気持ちで一杯だったが、この時、アルファは以外にも、怒った様子もなく、【気にしないでほしい】と許してくれた。


そのとき、少し救われた気持ちになったが、特に気持ちを伝えるようなことはしなかった。

だが、どこか嬉しそうなアルファを見て、おそらくバレているのがわかり、少し驚いたりもした。


どうやら、先程スライムに意思はないと言っていたが、アルファは高度な知性を宿っているスライムなのだろう。





さて、話しをもどすが、スライムたちの食事の話だ。




早急に対処しなければ、第二・第三のアルファを産み出してしまうが、実はこれの解決策は既にある。

それが、【植物の生成】である。


いや、正確には、ダンジョンにモンスター以外を設置する方法だ。


少し前に、俺の任意の箇所に苔を生やすことが出きるようになっていたのだ。


場所はダンジョン内ならどこでも。

コア付近以外ならどこにでもだ。


これは、ウィンドウに新たに現れた

【ダンジョン装飾】の項目

【苔の配置】から選んだわけだ。


これにより、アルファもたまにコアから身体を離し、苔を吸収してまた戻ってくるといった行動を繰り返している。



ここで言っておくと、アルファは他の個体と違い、ほとんど俺にくっついて離れることはない。


最初の頃感じていた不快感も、なぜかアルファには感じない。

だが、彼らは徘徊するのが役目みたいなもののはず


たまには、ダンジョン内を散歩しなくていいのだろうか?



そう思って一度、ダンジョン内を徘徊しないのかとアルファに訪ねた事がある

だが、その時返ってきた返事は


【その必要がないからここにいる】


と、珍しくハッキリとした一言である。


俺は、前世の経験上、それ以上の言及を控え、気にしないことにした。


というか、語気が強くて少し怒っている様子だったので、これ以上は聞けなかった。


性別があるかわからないが、恐らくアルファは女の子なのだろう

だって、前世で男だった俺には抗いがたい雰囲気をビンビン感じたのだ。



ちなみに、新たにわかったことだが、アルファの蘇生以来、ほかの個体でも蘇生が出来ないか試してみたが、ほかのスライムやポイズンスライムでは、アルファの時のようなメッセージは現れていなかった。


アルファと同じように適当な名前をつけ、死ぬまで観察してみたが、やはりメッセージは出てこなかった。


特殊環境下で可能だったことのようで、今ではずいぶん言葉も話し易くなったアルファをみて、あのときのウィンドウには、とても感謝している。


さて、アルファと何気ないやり取りを繰り返しながら、俺はスライムたちの吸収を絶え間なく続けているのだが、ここでやっと新たな出来事があった。


それは、アルファのある一言から始まったのだ。




【ますたぁ、ダンジョン入口に、なにか、いる・・・・・・みてくる?】




突然のアルファの発現に俺は少し驚いていた。


ちなみに、【ますたぁ】というのは、つい数日前にアルファが俺を呼ぶときに表示させた呼び名である。


妙にしっくりきたのもあり、以降もアルファには気にせずそう呼んでもらっている



話をもどすが、どうやら本当に何かが洞窟に近づいているようだ。


俺ですら感じとることが出来なかった変化に、アルファが気がついたことと、ダンジョンになってから初めての来訪者が現れたことに、俺は少し驚いた。


未だに何もきたことがなかったので、外にはそういった生き物がいないと思っていた。


ほどなくして、洞窟の入口付近に、いままで感じたことの無い異物感を覚え、俺は視点を入口の天井へ移した。


すると、そこには始めてみる生き物がいた。


身長はそこまで大きくなく、人間の子供程度の大きさ。

耳の先が鋭く長く、鼻も少し尖っている。

肌が緑色をしており、身体にはぼろ布の様なものを巻き付け、片手にこん棒を携えていた。


おそらく、見た目てきに“ゴブリン”ではないかと仮定した。


それが、ニタニタと半開きにしている口から、ヨダレをダラダラ流しながら洞窟内に入ろうとしているところであった。


正直いって、汚い

できれば帰っていただきたいが、ゴブリンは気にする様子もなくズンズンとなかへと入って来てしまった。


すると、ダンジョン内の状況に【ゴブリン】の表示が現れた。


やはりゴブリン・・・・・・かぁ

いや、今はそんなことはどうでもいい。

こ、これは、もしかしてヤバイのだろうか?


スライムに並ぶくらい雑魚の代名詞であるゴブリン

だが、ここはまだまだひ弱なダンジョン!!

何か手を打たなければ!!!


おそらく、アルファから聞いていた生体が正しければ、スライムたちがゴブリンを撃退したり、ましてや反撃することは難しいだろう。


現に、ダンジョン内にいるスライムたちは、近付くことはあるが、襲いかかるようなことはせず、ただ足元をヌメヌメ移動するだけだ。

気持ち、ゴブリンの足元だけ綺麗目になっている様子から、彼らは彼らの役目を果たしているのだろう。


だが、ゴブリンはそれが気に入らないのか、仕切りに足元に群がってくるスライムたちをこん棒で蹴散らしたり蹴ったり払ったりして、ドンドン俺の方へ向かってくる。



こ、これは?!

も、もしかしなくてもヤバイかもしれない!!!


あのゴブリンの様子だと、間違いなく友好的な態度ではない!!


ましてや、ご近所付き合いのための挨拶なんてものでもない様子だ!


くっ、スライムたちがドンドン減らされている!

ポイズンスライムも、こんなときに限ってダンジョン内に出てきてくれていない!!


こ、これはもしや・・・・・・絶体絶命?!



俺は、徐々に迫り来る緑の小鬼に、戦々恐々しておると、不意にメッセージウィンドウに文字が浮かんだ。



【アルファ、迎撃、する・・・・・・きょか、ほしい】




それは、アルファのメッセージだった。

どうやら彼女がゴブリンを追い払うといってくれているようだ。

だが、先ほどの様子から、アルファでも太刀打ちできないだろう。


俺は辞めるようにアルファに伝え、ここから速く逃げるように言った。

だが、アルファは頑なに拒否の意を示した。




【ますたぁ、護る、逃げる、嫌】


「し、しかしアルファ・・・・・・」


【許可、欲しい、時間、無い】





アルファの強い意志に、俺はとうとう反論する言葉を無くしてしまった。


・・・・・・すまない、アルファ

お前がいなくなったら、俺もおとなしく腹を決めるよ。


あとは、任せる

頼んだぞ!アルファ!!!




おれがそう伝えるやいなや、アルファは一度ブルリと震え、おれに伸ばしていた触手を離し、まるで弾丸のような速さで部屋を出ていった。


その速さに驚きつつも、俺は視点をゴブリンへと戻した。


ゴブリンは、相変わらずニタニタとしながらまだスライムたちを蹴散らし続けている。

どうやら、蹴散らすのが楽しいのかその場でとどまりながら楽しそうにこん棒を振るって不快な笑みを浮かべている。


あ、あんのゴブ野郎!!

スライムたちで遊びやがって!!!


すると、視界の端に見慣れたスライムが現れた。

それは紛れもなく、アルファの姿であった。



アルファの無事を祈りながら、視点を二匹が写る場所に変え、ことの顛末を見届けることにした。


しばらくは、ゴブリンがアルファを睨み付け、アルファはジリジリとゴブリンとの距離を詰めていった。

どちらも警戒しながら睨み合っているような状態だったが、そんな中、先に動き出したのはゴブリンの方だった。


やつは、アルファをまるで新しいオモチャを見つけた子供のようにニヤリと邪悪な笑みを浮かべ、不快な笑い声をあげ、足元のスライムたちを無視してまっすぐアルファへと駆け出した。


アルファには、動く気配がない。

危ないと俺が思ったときには、ゴブリンのこん棒がアルファに届く位置まで近付いており、ゴブリンが声を上げながらこん棒を振り上げた。


逃げろといいかけたその時、周囲のスライムに変化が現れた。

突然、スライムたちの動きが一変したのだ。


今まで、抵抗や反応を示していなかったスライムたちが、一斉にゴブリンのこん棒目掛けて体当たりをしたのだ。


ゴブリンは、突然のことに驚き、驚愕を表情をうかべ、そのままこん棒を手放してしまった。


振り返ろうとしたゴブリンに、今度は違う色のスライム・・・ポイズンスライムが二匹、その醜い顔と、むき出しの身体にベチャリと張り付いた。


すると、ゴブリンはあわてふためきながら顔と身体をかきむしったり叩いたりし始め、ついには地面に倒れ、ゴロゴロとのたうち始めた。


しばらくして、ゴブリンは徐々にその動きを緩めていき、ついには動かなくなった。


それを合図と言わんばかりに、今まで周囲で群がってるだけだったスライムたちが一斉にゴブリンに殺到した。


ゴブリンは、数秒ジタバタと暴れていたが、徐々に動かなくなっていき、そのまま完全に停止した。

それと同時に、みるみるゴブリンを覆うスライムたちの山が、ドンドン小さくなっていき、さらに数十秒後、ついにスライムたちが離れたあとには、ゴブリンの姿は消えていた。



その光景に、俺は言葉も出てこなかった。

スライムたちは、見事に侵入者を撃退して見せたのだ。


その事を再認識し、俺は自分のことのように喜んでしまったが、しばらくして、アルファが戻ってきて俺は我に返り、無事に帰ってきたアルファを迎え入れた。




「ありがとうアルファ

それに、スライムたちにも、お礼を言わないとな」



俺がそういうと、アルファはまた俺に触手を伸ばし、【ありがとうございます】と一言返してくれた。


結構淡白な反応のように見えるが、今まで会話してきた経験から、無感情に振る舞っているが、実のところ誰よりも感情豊かで、他人思いなのだ。



俺は、もう一度アルファに「ありがとう」と伝え、感謝の意を込めて、今回戦ってくれたスライムたちのために、付近に苔を多めに配置した。



いつものように吸収してしまう前に、彼らにも俺の感謝の気持ちが少しでも伝わるように願いながら、心苦しいが彼らをありがたく吸収した。








そして、数日の後に、ダンジョン内のポップアップから、ゴブリンが出現したのだった。



==================




今日もゴブリンは、ゴブゴブいいながらダンジョン内を歩き回っていた。


彼は、数日前にポップアップから出現した個体である。


それは、突然おこり、いつも通り吸収を続けていると、不意になれない感覚が体内にあったのだ。

確認すると、そこには、何日か前に倒したゴブリンが、ダンジョン内に出現していることに気がついたのだ。



正直、入口付近のポップアップだったこともあり、少し肝が冷えたが、直ぐにアルファが敵ではないことと、到着したゴブリンが武器を地面に置き、片手片膝を付いた礼をしたことで、俺は落ち着いて話を聞くことが出来た。



話聞くことが出来たのだが、少々問題があった。


それというのが




【ゴブゴ!、ゴブブブッ!!ゴブリッギャ!!ゴブゴブゴー!!】




・・・何を言っているのか、さっぱりわからないのだ。






ずいぶんゴブゴブ言っているが、ゴブリンはそれくらいしか話せないらしい。

言葉は分からないが、何となくの雰囲気は分かる。

姿勢的にも、先程から何度も頭を上下に動かしている様子であり、謝っていると思うが実際はどうなのか・・・




【ますたぁ、これ、謝ってる。

それに、今後の、身の振り方・・・聞いてる。】




悩んでいると、アルファが突然そういってきた。


・・・・・・ん?

待てよ?

アルファは、このゴブリンの言ってることが分かるのか?


俺は、アルファに直接確認してみると、どうやら全てではないが、大体何を言っているのかは分かるそうだ。


アルファいわく、このゴブリンはこのダンジョンに襲ってきた個体と同じようで、ここを襲ってしまった事を謝罪しているようだ。


さらに、自らの死を確信して意識を手放したはずなのに、目が覚めた時、ここの中で目が覚め、すぐに俺の存在を感じとることが出来たそうだ。


確かな力と安らぎを感じ、向かってみれば俺の所にたどり着いたのだと言う。


それを、アルファから聞いた俺は、もう一度ゴブリンの方を見た。

彼は、俺のほうをジッと見つめたまま、少しガタガタと震えていた。


なんでこんなに震えてるんだ?

寒いのか??

なぜ、震えているのか訪ねると、またアルファが訳してくれた。




【ますたぁ、これ、覚悟決めてる。

襲った責任として、命を捧げる、言ってる。

いらないなら、自分で死ぬ、言ってる。

どうする?】




ふーむ、なるほど。

まあ、こいつの気持ちもわからなくはない。


だが、ちょっと冷静に分析してみようか?


今までは、意志があるモンスターが復活するケースはアルファを除いていなかった。


・・・違うか。

意志疎通が出来たモンスターがアルファだけだったか。

言葉は分からないが、言っていることはアルファのお陰で理解できる。


それなら、今回のようなことが起こったときに対処するための戦力として数えた方がいいのではないか?

ゴブリンがどれくらい強いのか解らないが、少なくともスライム達よりは強いのは間違いがない。


それに、ゴブリンが出てきたと言うことは、もしかすると今後も増えるかもしれない。


そのとき、彼らの行動を把握するためのサンプルとして丁度いいのではないだろうか?

可能性としては低いが、ゴブリンもポイントを払って復活させることが可能かもしれない。


ここで殺すより、おそらく生かして見守る方がメリットがあるだろう。



俺は、そう結論付けると、ウィンドウにここで生活して、ダンジョンを守ることを条件に生かしておくことを伝えた。


だが、ゴブリンは顔こそこちらに向けているが、言葉が通じていないのか、首をかしげている。


なるほど、文字が読めないのか

これは、ちょっと不便だな。


すると、アルファが何やらプルプル震えだした。


何事かと思うと、なんと、部屋に一匹のスライムが姿を表した。


いつもなら、入口付近で踵を返して戻るのだが、この個体はこちらに近付いてきて、なんとゴブリンの手の平にピッタリと寄り添うようにくっついた。


何をするのかと思えば、ゴブリンが突然驚いたように口と目を大きく開き、こちらをみてきた。




【もう、はなし、出来る。

でも、複雑、だめ。

端的、短く、伝える】




アルファの言葉に、俺は驚きを隠すことができなかった。

どうやったのかよく解らないが、とにかく話がゴブリンに通じるようになったようだ。


試しに、俺はゴブリンに向かって「こっちにこい」と言ってみた。


すると、ゴブリンは突然その場にバッと立ち上がると、困惑した様子ではあるが、ゆっくりとこちらに近付いてきた。

そして、こちらまで来て恐る恐るこちらを見上げてきた。


おお、どうやら俺の言葉が聞こえているようだ。

試しに、ウィンドウに「座れ」と表示すると、少しこちらを凝視したあと、その場にペタンと両足を投げ出した格好で座り込んだ。


ゴブリンは、不思議そうにはしているが、実に忠実に俺の言ったことをやってのけた。



これなら、少々条件付きではあるがしっかりと命令も出来るし、アルファの時より様々なことが試せるだろう。


俺は、改めてゴブリンに先ほどと同じような事を伝えると、彼はその場で平伏し、ゴブゴブとスゴい勢いでわめき始めた。


少し驚いたが、これでこのダンジョンにやっと戦力として数えられるモンスターが仲間入りした。



そして、数日が経過したが、あまり代わり映えしない日常を過ごしていた。


変わったことと言えば

まず、ゴブリンに名前をつけた。

名を“ゴブリ”とした。

理由は、名付けでモンスターになにか起こるのかを検証するためだ。


スライム達だけの時にも、多少は検証したのだが、アルファ以外になにか変わったことが起こることはなかった。


そこでわかったことは、彼は思ったよりも高い知能を有していたことだ。


彼は、ダンジョンにその身を投じてから、スライム達への現場指示を一手に引き受けてくれたのだ。

命令事態は、側近になりつつあるあのスライムに触れていることで、アルファや俺以外にも、スライム達に彼の意思を伝えることが出来ているようだ。

スライムが近くにいなくても、雄叫びのような声や、短い鳴き声で、スライム達も彼の意に即した行動を最近とれるようになってきていた。


アルファの能力なのかと聞いてみたが、違うと言っていたので、おそらくゴブリの能力なのだろう。


最近では、俺がわざわざ指示をしなくてもモンスター達の迎撃であれば任せられるレベルだ。

お陰で、俺は検証や新たな能力の研究、さらにはレベル上げなどに集中できている。




そのかいあって、本日は新しい機能が実行可能となった。


それは、待ちに待った項目

【ダンジョン増築】である



これは、読んで字のごとく、このダンジョンに新たな通路や広場といった、新たな部屋を作り出すものだ。

これで、ただの一本道のこのダンジョンに、変化を与えることが出来る!


さっそく、俺はステータス画面を開き、今のダンジョン状況を整理することにした。


【ダンジョン名→スライム達の洞穴】

【ダンジョン内→異常なし】

【ダンジョンコア→囲側平田】

【ダンジョンボス→囲側平田】

【ダンジョンモンスター→スライム、ポイズンスライム、ゴブリン】

【ダンジョンレベル→3】

【ダンジョン脅威度→E+】




おお

レベルが上がって、驚異度が“E+”になってるな。

ダンジョンモンスターの欄も、ゴブリンが追加されてるな。


レベルはわかるが、驚異度は二段階上がってるな

あくまでも予想なのだが “F+”から“E-,E”を飛ばして、一気に“E+”である。


まだ確定するのには情報が足りないが、少なくとも、レベルと驚異度は必ず比例している訳ではないかもしれない。


比べる対象もないので、今後も成長しながらも、どこかで情報が欲しいものだ。

こうなると、自らのここの外へ出られない自分のこの身体が恨めしい。


まあ、無い無いものをねだっても仕方ない。


さて、状況整理はいいだろう。

いよいよ、ダンジョンの増築に取り掛かろうか?


俺は、必要最小限の消費で、どうすれば罠や迎撃を行えるのかを考えながら、ダンジョンを作成していったのだった。






そして、ある程度の増築を終えようとしていたその頃

このダンジョンに、新たな珍客が訪れようとしていた。

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