第5話 全体を回ってみよう

 さて、今度は書籍購入の話だ。


 当然だが、自らに課したノルマ(第3話参照)を達成しただけでは満足しない。

 他にもめぼしい本があるかもしれないからだ。


 幸いにも、軍資金は1万円と少々あった。

 これだけあれば足りるだろうと、準備しておいたのだ。


 ゆえに、私は書籍を購入するのはもちろん、ガチャガチャを回したり(景品はステッカーや缶バッジなど)、あるいは単に見て回るだけであっても実行した。


---


 話は変わる。

 一つ、私が戸惑った事が起きた。

 私の格好は普段着(とは言っても、オシャレな服装を選んだつもりではあるが)に帽子、そして風邪予防用のマスクを着用しているものであった。


 しかし、途中参加者も合わせて300人程度(一般参加者のみを想定)になると、熱気が籠る。

 上着を脱いでリュックに仕舞っても、まだ熱対策が足りないくらいだ。これがコミケならば、確実に救護室行きになっていたであろう。


 翻って。

 私は何故か携行していた、「冷えピタ」と呼ばれる装備を張り付けたのだ。


 さて、この格好はどういうものか?


 そう。

 ど こ か ら ど う 見 て も 、 風 邪 を 引 い て い る 人 間 の 姿 で あ る 。


 お陰で目立つ事この上ない。

 この格好ゆえに、客引き(念の為書いておくが“合法で無問題”)にもあった。


---


 などという事態も発生したが、概ね良好であった。

 成果としては、無料、有料の書籍を合計して、“15冊程度”と言える数に上った。

※書籍以外、たとえば缶バッジやパンフレットを含めると数はもっと増える


 しかし、私は悔しがった。

 何故なら、「気になる書籍があるのに、購入出来ない」という事態に見舞われたからである。


 そう。

 軍 資 金 が 1万円 で は 、 不 足 だ っ た の だ 。


 これを書いたら、「それをしたところで、結局同じ思いをするのだから意味は無い」と言われるかもしれない。

 だが、それでも書かせてもらおう。


「次回参加する際は、1万円ではなく、1万5千円を携行して臨む」と。


 それだけ、悔しい思いをしたのである。


 なお、文フリにおいて頒布された作品だが、値段はピンキリである。

 高ければ千円超えは当たり前、場合によっては3千円すらも超える書籍があり。

 安ければ100円、いやそれすら下回って“無料”の書籍もあった。


 それだけ、多種多様なのであろう。

 ジャンルのように、中身のように。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る