ボクのランクが12になった!
「ま、何はなくともハンターランクをあげないとね!」
『
「あらあらぁ~。元気になったんですねぇ~。よかったですぅ」
生徒会長の紀子ちゃんはにこにこ笑いながら
ちなみに福子ちゃんは学園が違うけど、ハンターランクは六学園共通となっている。なので別の学園でもランクアップは可能なのだ。うーん、ゲームとはいえ都合のいい設定だ。
「そういえばレアアイテム分配まだだったよね。ぶっちゃけ、『鬼の角』以外は全部提出してもいいけど」
「『鬼の牙』を使って『
「ヤダ。ボクはバス停とマフラーに拘るの。あと犬塚さんは他人行儀すぎない? 洋子でいいよ」
「…………ヨ……ヨーコ先輩で……っ! これ以上は勘弁してください!
なんでそっちからガンガン来るんですか! 私いろいろ距離詰める為に考えてるのに!」
? 何を勘弁してほしいのだろうか? よく分からないけど、ツッコむのも野暮なのかな?
「あらあらぁ? 犬塚さん、どうしたんですか? かわいい子を連れて」
「うん、かわいいでしょ。『
「…………っ。その、かわいいとか、言わないで……!」
「あらあらまあまあ。ごちそうさまです」
? 何がご馳走様なのだろうか? ニヤニヤしている紀子ちゃん。あと手で顔を覆っている福子ちゃん。
ちなみに紀子ちゃんに『名前でよんでー』的な事を言ったら、『生徒会長は全生徒と同じ距離を取らないといけないんですぅ』と返された。
「レアアイテムもいただきますね。
では最終的に犬塚さんはランク12に。小守さんはランク11になりましたぁ」
よしよし。とりあえず初心者の壁は突破したところかな。
「福子ちゃんもランク11か。ハンターになって間がないのに、早いねー」
「当然ですわ。この『
もっとお褒めになってもよろしくてよ! さあ、私を誉め称えることを許しましょう!」
口に手を当てて、ポーズを決める福子ちゃん。
「えらいえらい。撫でてあげるね」
「こ、子ども扱いは……っ、その、悪い気分ではありませんけどっ!」
「仲がいいんですねぇ」
「こ、これは違いますわ! あくまで私とヨーコ先輩との関係は
「仲がいいんですねぇ」
「なんで言い返すんですかぁ!」
目に涙を込めて反論する福子ちゃん。それをにこにこ笑いながら返す紀子ちゃん。
「そうそう、仲がいいんだ。なのでクラン組むことにしたんだ。次はサファイア号でサメ狩りだよ」
「うーん、ランク12でクラン結成は早すぎるんじゃないと思いますよぉ」
通常、『チェンソーザメ』はランク15を超えたあたりからがねらい目と言われている。ランクによって購買部から得られるアイテムはランク15毎に大きくグレードアップするからだ。
「そちらのテイマーさんもぉ、15になればDクラス眷属を使役出来ますしぃ」
例えば福子ちゃんの場合、Dクラス眷属――今使っている眷属よりも攻撃力も耐久力も高い眷属が使えるようになる。なのでもう少しランクアップしてからの方がいい、という紀子ちゃんの意見は正しい。
「ダイジョブ! そんなのボクにかかれば些末な問題さ!」
だけどそれはあくまで難易度が優しくなるというだけだ。
「私も問題ありません。ええ、その程度の難関、乗り越えて見せますわ」
「と、言うわけでもーまんたい! サクッとサメ倒してクランを作るんだ!
ついでに低ランクだからあれが出来ないこれが出来ない、っていう風習もぶっ潰してランク至上主義に風穴開けてやるんだから!」
「無理だと思ったらすぐに撤退してくださいねぇ。逃げることは恥じゃないですからぁ」
「むぅ。信頼ないなぁ」
心配してくれているんだろうけど、逃げ帰る前提は少し傷つく。
「だってあの足場と環境だと、近接武器は不利ですよぉ? ただでさえ、対ゾンビには向かないのにぃ」
「だからこそ、『
「わーい、ありがとう。福子ちゃん。助かるよ!」
手放しで喜ぶ
「成程ぉ、天然たらしですね、犬塚さん」
「天然のたにし?」
「小守さん。犬塚さんはこういうヒトなんで、もっとガンガン振り回す覚悟でいかないと難しいですよぉ」
「別に私は……その……考慮します」
? よくわからないアドバイスが為されたようだ。どういうことなんだろ?
考えてもよくわからないので、聞き流すことにした。
「ま、いいや。
チェンソーザメ相手するんで、服の防刃強化とかラジカセとかゲットしとかないとね」
服の防刃強化。言葉の通り、服に刃物に対する耐性を持よう強化する事だ。チェンソーザメの攻撃はチェンソーによる斬撃なのでそれに対する防御力を増しておくのが基本になる。ただ重量が重くなるのが難点だ。
まあ、
「ラジカセ……
福子ちゃんが頷きながら補足する。
ゾンビは原則的に音と臭いを頼りに襲ってくる。なのでラジカセを離れた場所に置いてタイマーで作動させて、ゾンビを一ヶ所に集めることが出来るのだ。さすがに人間を見つけた時などはそちらを優先するが、何もなければゾンビを一ヶ所に集めることが出来る。
……今時ラジカセもないよなぁ、とは思うけど、
(音出すならスマホでいいじゃん、て思ったけど軽量でゾンビの動きをコントロールできるアイテムを出すのは運営もまずいと思ったんだろうね)
メタいメタい。まあ音量とか学校内に余ってたとか、そんな理由でラジカセなのだろう。そう納得した。
「それに、犬塚さ……ヨーコ先輩の訓練ですわね。私、楽しみですわ」
なんだか嬉しそうに福子ちゃんが頷く。今の福子ちゃんのままでも通用はするだろうけど、知っておくとより効率的なので今のうちに教えておこう。あって損な知識ではないし。
「そのぉ……やっぱり拳銃系のお仲間を入れた方がいいと思いますよぉ。近接オンリーと眷属操作のお二人ではぁ、チェンソーザメ相手には心許ないというかぁ……」
やる気に水を差すようでさしでがましいですけど、と前置きして紀子ちゃんが口を挟む。近中距離に対応できる火力の高い拳銃使いは、どんな戦場でも鉄板だ。
「ダイジョブジョブ! ボクに不可能はないんだから!」
言ってVサインを出す
ともあれ、生徒会室を出てそのまま食堂に向かう
「お腹すいたんで、お昼ご飯食べてからにしよう!」
という
「そう言えば福子ちゃんは何を買ったの?」
「わたくしはトマトパスタですわ。ニンニク抜きで」
「吸血鬼ネタ引っ張るなぁ」
「お、乙女として口臭は気になるんですっ! 察してください!」
あー、そっか。はいはいと頷く
……って、忘れそうになるけど
「……おい、あいつが……?」
「マジかよ。そこまでして……」
そんな
そう思っていると、一人の男子生徒がこっちに近づいてきた。ハンターの証明書が胸にあるところを見ると、同じハンターなのだろう。
「おい、犬塚。
お前、後藤さんが攻撃していた『
彼は
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