第2話デートでドキドキしたい


あれから...いろんなことがあった。

まず少女と桜の場所で話すことが多くなり、そこから仲良くなっていった。

そして彼女は"謎の病気"にかかっているらしい。現在の医学ではまったく治せないレベルらしい。


だから彼女は楽しみたいのだと。

そうして彼女からデートのお誘いがきた。



...ところでなぜ俺なのかな?





先に待ち合わせ場所についた僕は暇つぶしに「最愛と秘宝」という小説読んでいた。

ふむふむ...この名前ってこんな意味があるのかぁ


そんなどうでもいいことを考えていると

「おーい!まったー?」

「うん。待った。なにかおごれ」

「いやそこは!待ってないよ!って言うところでしょ?!」

「待ってるのに待ってないとは言えないからな。さ、行くぞ」

「無神経...」

「なんとでもいえ」

今回のデートに俺が乗った理由は一つだけある。それはこいつに命を与える人間に値するか...だ。

俺は悪に手を貸したくはないからな。

「ミヅキってさ」

「ん?」

「空気読まないよね。読めないじゃなくてさ」

「まぁ読む必要ないからな」

読んでところで自身に得があるわけではない。


「あ、今どこに向かってるの?」

「...プランとか立ててるわけ...ないよね...」

「あぁ、当然」

別にデートだからと自分がプランを立てるメリットがない。もしそれが当たり前だと言う人がいれば口論したいものである。


「じゃあ...」

「じゃあ?」

「とりあえずゲーセンね」

彼女のデートスポットは少しおかしいのかもしれない。可愛いからいいが...




それから俺たちは色んなところを回った。

ゲーセンでぬいぐるみを取ったり

映画を見たり

パフェを食べに行ったり


「あれ...お金ってこんなにすぐ溶けるものなの...??」

「おまえが金銭感覚おかしいんだよ」

「貴方が奢らないのが悪い!」

「ごめんな。俺がお金をおごるのは神様におねだりするときだけって決めてるんだ」

「それってつまりお賽銭ってことじゃない!ドケチ!」

「生きる知恵と言いたまえ」

「貴方男じゃないわ...」

奢らなければ男じゃなくなるのか?厳しい世の中だ。


ゆっくりと日は沈み、辺りは少しずつ暗くなってきた。


「すこし行きたいところがあるの。行っていい?」

「おまえがいいならいいぞ」

「やった!」

無邪気に飛び跳ねながら小走りの彼女に僕は可愛いなあいつと小声で言葉をこぼした。



「ここに来たかったのよね」

「池じゃん」

「池だよ」

「池?」

「池」

「なんでまた池?」

さっきのよくわからない会話はスルーしておくことにしよう。

「ここはね。あと数十分後にホタルがたくさん見れて綺麗なのよ」

「じゃあその数十分は暇なわけか」

「そうね」

「ならちょっと駄弁るか」

よいしょっとベンチに腰を下ろし俺たちは駄弁り始めた。

「貴方の過去の話聞かせてよ」

「なにも面白いものはないぞ」

「いいよ」

「そうだな。まず、俺にはすこし特別な...」

すこし言うか戸惑った。おそらく俺が彼女に命をあげることを知ると拒むはずだからだ。

「どうしたの?」

でも少なくとも1週間後にはなくなる命だ。大丈夫だろ。と思い話すことにした。

「俺には...少し特別な力...能力といったほうがいいかな。能力を持ってるんだ」

「バカなの?」

「バカだけど真面目だ」

「どんな能力?」

「命を交換する能力」

「...なにそれ」

彼女は混乱している。それもそうだ。








そうして俺は"過去"について話し始めた。









この選択が間違ってなければ...

良いのだが...な...








教えてくれ...リン...

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