コトダマ
七瀬空
第1話謎の少年と謎の命
僕こと、ミヅキには生まれ持った能力がある。それは「命を交換する」能力だ。
例えば僕が枯葉を拾い、願えさえすればその枯葉はみるみるうちに僕の寿命のぶんだけ、生きれるようになりその分僕は死んでしまう。逆に大木と交換すれば僕は下手をすれば何千年も生きられる。
そんな"意味のない"能力だ。
僕は今の世界に無関心だ。
正直生きる理由なんてないからだ。
どんっ
バタンーー
僕はなにかにぶつかり地面に倒れこんだ。
「ご!ごめんなさい!!あ!い!急いでるんで!!」
「あ、あぁ...」
考え事をしていると変な少女にぶつかった。
「ぼーっとしすぎたかな...」
「き、きみ!この辺で15歳くらいの少女を見なかったかい?!」
「え、あ、あぁ、あっちに行きましたよ?」
「ありがとう!」
そうしてその白衣をまとった医者らしき人は僕が指差した方へ向かっていった。
「なんだったんだあの人たち...」
僕はさっきの出来事を不思議に思いながら歩を進めた。
「やっとついたな」
今の季節は春。そしてこの場所は僕しか知らない秘密の桜スポット。周りに木が生い茂っていて、中心に桜が一本だけとても神秘的な場所である。
僕は春になると毎日ここに来ている。
「やっぱりこの場所は誰にも教えられねぇな」
この場所が誰かに知られたりなどすると僕がこれからここに来づらくなるしな。
「ハァ...ハァ...」
「はぁ...??」
突然、誰かの疲れ切ったような荒い呼吸が聞こえた。不意に後ろを振り向くとそこにはーー
「え...??はじめまして...??あ、いや?!さっき...ハァ...
ハァ...会いましたね!アハハ...」
「あ、あぁ...会ったな....」
「この場所...キ、キレイですね」
「あ...」
しまった。完全に忘れていた。この場所は誰にもバレたくなかったのに...バレてしまった...
「し、しばらくここにいさせてもらいますね...」
「いや、帰れ」
「なんでですか~?いいじゃないですか~」
「すまんがここは俺の隠しスポットなんだよ」
「じゃあ私も今日からこの隠しスポットを使わせていただきますね!」
彼女はもう息切れはなくなったらしい。その体力は見習いたいものだ。
「あ!来た...!!ちょ!ちょっとすみません!かくまってくれませんか!」
「なんで俺が...??」
「お願いしますね!」
「はぁ?!」
なんのことかと思い前を見るとさっきの白衣の人がこちらへ走ってきた。
「きみ!この辺で15歳くらいの少女を見たかい?!」
「い、いや知りませんね...」
「わ、わかった!ありがとう!」
それだけ行って去っていった。
「ありがとうございました!それでは!また来ますね!」
「おう、二度とここに来ないでくれ」
そんな僕の文句を聞くことなく彼女は去っていった。
ーー久々に面白いやつに会ったな...
ーーあいつ以来か...
なぁ?リン?
僕は彼女の名前を知らない。
知る由も無い。
"なぜか関わってはいけないと僕の直感が言っていた"
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