第2話
○『ロリータ』の言語遊戯とは?
この小説は、他の小説では見かけないような比喩や描写が魅力です。記憶の中の情景を執拗に書くことで、ハンバートのロリータへの異様な愛情を描いています。ただし、この描写が読みにくい。ロリータをはじめ女性の体の描写は変態といっても構わない。ハンバート、脇を見すぎではないのかな? また、自身の感覚を描写する手際も見事だが、ゴシック小説のような意味の分からない修飾語もあり、それが結局何をしているのか分からないということも。
一例だが、素晴らしい美文で何が書かれていたのかを読み取れば、勃起したチンコをアナベルという初恋の女の子に握ってもらった記憶や、公園で見かけた少女に興奮したりなど、とにかく美文と内容が釣り合っていない。(ただし、そこが面白い。)
時に正確極まりない情景描写なども出てくる。その息の長い一文を読んでいるうちに何について書かれていたかを忘れてしまう。もう一度読み直そうとする。そこに囚われているうちにストーリーを忘れてしまう。
読者はその厳密極まりない描写に圧倒される。しかし一方で、ご都合主義という謗りを受けかねないものもある。ロリータの周辺に配置された薔薇という記号は、偶然では済まされない。ハンバートは、薔薇のために事実を捏造しているふしがある。そしてこの、ご都合主義的なものも含めて、次回に述べたい②の内容になります。
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