不真面目にロリータを読みなおす

古新野 ま~ち

第1話

ナボコフの『ロリータ』を再読した。初読時は確か、あまりの文章の複雑さに挫折し、再挑戦したときに意味不明のまま読みきった。これは私の読解力が低いせいであり、ナボコフや訳者の若島正のせいではない。


奇妙な言い方になるけれど、意味不明のまま読了したときの感想は、絶対にもう一度読まねばならないという義務感だった。義務という表現が芸術作品に相応しくない気もするので、言い換えるなら、再読しなければナボコフの『ロリータ』を読んだと言ってはならないと倫理的な警告が頭に響いたのだ。


というわけで、再読した。5年越しくらいに。なるほど、結末が分かっているから読みやすい。そもそも、どうして読みづらかったのかも把握できた。だからといって、読みきったという確信は、全くない。偶然、この文章を読んでくださった方で『ロリータ』が未読ならば、ネタバレに注意してください。



○ そもそも『ロリータ』ってどんな話?


拘留中の中年男、ハンバート・ハンバート(仮名)が、少女ロリータへの倒錯した愛を回想して綴る小説だということは、周知のことかと思う。だからといって、恋愛小説のようなものを想像されると、それは間違っている。この作品は、拘留中の男、つまり犯罪者が語り手であるということです。


○ どうして読みづらいのか?


この作品が読みづらくなっている理由を、私は大きく分けて二つあると思っています。それは、


① ハンバートの過剰な言語遊戯


② ハンバートの語りが自在すぎること


2は1の中に含まれるのでは? と思われる方もいるでしょうが、そしてそれは正しいのですが、別のことについて述べています。ややこしくてごめんなさい。


その2では、①から述べたいと思います。

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