第45話 クリームシチュー少女
「人生は選択だ! 君ならどうする! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
新番組のキャッチフレーズはできたでござる。
「お友達になろう! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。
「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」
良く出来た妹の楓の物語。
「師の刀で葬り去ってやろう!」
サイキック刀を握りしめる真理亜。
「来い! 師匠!」
弟子のジョージは身構える。
「ガパオ流奥義! 夢精転生!」
「し、下ネタ!?」
まさかの最終究極奥義は下ネタであった。
「やめて下さい!? 師匠!? 〇〇少女ワールドのテレビアニメ化が無くなってしまいます!?」
動揺するジョージ。
「甘い。」
ニヤッと笑う真理亜。
「くらえ! 必殺! トムヤムクン!」
ただのタイキックである。
「グハー!? 不意打ちとは卑怯な!? でも師匠らしい。バタッ。」
タイキックを受けたジョージは、あの世に旅立った。
「カット!」
撮影を止める真理亜。
「そこは「我が人生に悔いなし!」でしょ! 勝手にセリフを変えられても困るんですけど!」
「すいません。」
師匠に歯向かえないので生き返ったジョージ。
「そういえば、時代劇で壮大な死に方をして名言を残した人って織田信長ぐらいよね。」
国盗り物語が中心で時代劇の人物は弱いのかもしれない。
「テイク2! 3、2、1。」
再開される時代劇の撮影。
「我が人生に一片の悔いなし! バタッ。」
ジョージは2度死んだ。
「ガパオ流は一子相伝。おまえに教えた時から、こんな日が来るのではないかと心配していたが、現実になってしまった。ガパオの掟は私が守る。」
正統継承者の試練に胸を痛める真理亜だった。
「エンド。」
撮影が無事に終わった。
「どうだ! 私のタイキックの威力は!」
「サイキックだよ! お姉ちゃん! 少しズレてるよ!」
「アハッ!」
お約束の展開。
「あれ? 死んでない?」
起き上がるジョージ。
「無性転生は一度死んだ者を生き返らせる最終究極奥義だ。ガパオ流は一子相伝。ジョージ、おまえはもう死んだ。後は好きに生きるがいい。」
「し、し、師匠!」
ジョージは真理亜の優しさに感動して涙を流す。
「下ネタじゃなかったんですね! うえ~ん!」
安堵の涙を流すジョージ。
「バカ者! 師匠を何だと思っているんだ!」
夢精と無性の感じ違いである。
「ピキーン!」
その時、真理亜の脳裏にサイキック・インスピレーションが起こる。
「し、しまった!? 「おまえはもう死んでいる。」を使うのを忘れてた!?」
真理亜、痛恨のミス。
「ということで、もう一度取り直しな。」
「ええー!?」
「悪代官を倒す時に「おまえはもう死んでいる。」を言っとけばよかった。アハッ!」
「また山の手街道一周をするのか・・・・・・勘弁してください! 許してください!」
「文句ばっかり言ってると破門にするぞ。」
「分かりました。破門してください。」
「なに!?」
「やったー! これで山の手街道もう一周をしなくていいんだ! やったー!」
ジョージは弟子を破門され自由の身になった。
「どうぞ。師匠。最初から取り直してください。」
「やめた! 今の作品が完璧だ!」
「開き直った!?」
「アハッ!」
真理亜はこういう少女である。
「さあ、楓。お家に帰ろう。今日は暖かいクリームシチューだ。」
「わ~い! クリームシチュー!」
真理亜と楓は帰ろうとする。
「待ってください! 師匠! 私もクリームシチューが食べたいです!」
食い下がるジョージ。
「私に弟子はいない。破門した弟子ならいたがな。」
「そ、そんな!?」
「おまえを連れて帰れば、私が食べるクリームシチューの量が減るじゃないか!」
これが真理亜の本心である。
「ジョージ。元気に暮らせよ。」
「師匠。」
「じゃあ、またな。」
超能力のワープで一瞬で姿を消した笑顔の真理亜と楓であった。
「師匠。ありがとうございました。」
この後、虐殺を繰り返していたジョージが庶民に捕まって針付け獄門の刑にされたかは不明である。
「ただいま!」
真理亜たちは渋谷村に戻ってきた。
「おかえりなさい。」
母のひばりが娘たちを出迎える。
「飯! 飯! 飯を寄こせ!」
「おまえは山賊か?」
「アハッ!」
親子の感動の再会よりも食い意地が優先な真理亜。
「お先に頂いてます。」
「また、おまえたちか!? この食い逃げやろう!?」
「食い逃げではない。御呼ばれしてるのだ。」
「まだクリームシチューも残っているし、そんなに怒らないで。」
「まあ、いいだろう。許してやろう。」
永遠のお隣さんのアリアと渋谷子がクリームシチューを食べていた。
「おいしい!」
やっとクリームシチューにありつけた真理亜。
「時代劇にクリームシチューなんてあったのかしら?」
「アハッ!」
細かいことは気にしない。
「いや~。これでお家でゴロゴロできる。アハッ!」
「それは無理。」
「どうして?」
「各地から、真理亜ちゃんに「うちの鉄道路線街道にも武者修行の旅に来てください!」ってお手紙がたくさん来てるもの。アハッ!」
「なんですと!?」
真理亜の自宅には武者修行の依頼のお手紙が山積みになっていた。
「「助けてください! このままではうちの街道は破綻です!」こっちはロンドン!? 中国やアメリカもある!? どうなってるのよ!?」
日本国内だけでなく、世界各地からオファーが届いている。
「「ガミラス星雲にも来てください。」どこやねん?」
宇宙です。アハッ!
「ふう~、おいしかった! げっぷ!」
食事を終えた真理亜。
「真理亜、食べ終わったら宿題しときなさいよ。」
「ええー!? 時代劇に宿題なんかあるのかよ!?」
「寺子屋があるじゃない。それに勉強ができないと体を売って生きていくしか仕事はないわよ。」
「そんなアホなでござる!?」
真理亜の悲劇は繰り返される。
つづく。
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