第44話 バナナジュース少女
「笑顔で平和に暮らそう。争うなんてばからしい。お友達最高!」
それがアハ教の教えである。
「みんな! お友達になろう! そうすれば争いが無くなり世界が平和になる! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。
「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。」
良く出来た妹の楓の物語。
「ジョージ! おさるのジョージ!」
「誰が猿ですか!? このおバカ師匠!」
「誉め言葉と受け取って奥でござる。」
「褒めてない!」
「アハッ!」
師弟でボケ合える良い関係。
「で、死んだら天国へ行くんじゃないのか?」
「不思議と行かなかったんです。」
「それもすごいな。」
「アハッ!」
話が前に進まない師弟。
「それでは問題です! 私はどうして成仏できなかったでしょう!」
ジョージが選択肢をあげる。
「1、バナナの皮で滑って転んで死んだのが恥ずかしいから。」
「2、悪魔に取り憑かれたから。」
「3、幽霊に取り憑かれたから。」
「さあ! どれでしょう?」
「ムムムムムッ!?」
人生は選択だ! 君ならどうする! 〇〇少女ワールド! アハッ!
「決めゼリフが決まったな。名探偵コナンの後釜は私で決まりでござる。アハッ!」
あくまでも志の高い野心は高々に!
「まずは1を見てみよう。サイキック・インスピレーション! ジョージがバナナの皮で滑って死んだ。問題はここからだ。いったい何があったんだろう?」
真理亜の超能力で、ジョージがバナナの皮で滑ったところのビデオ映像が流れる。
「おまえの血は何色だ?」
「黄色みたいすね。」
人間の赤い血ではなく、現場にはバナナジュースが流れている。
「あれれれれ? ジョージが動いてる?」
「ということは!? 私は死んでいないでござるか!?」
なんとジョージは死んでいると思い込んだだけで、実は死んでいなくて生きていた。
「良かったな! ジョージ!」
「はい! 師匠! アハッ!」
喜びを分かち合う師弟。
「でも、それって選択肢に答えが無かったってことよね。」
ぼそりと楓が言う。
「謀ったな!? ジョージ!?」
「ええー!? 知らなかったんだからしょうがないでしょ!?」
「それもそうだな。アハッ!」
師弟とはどんな時でも分かり合えるものなのだ。
「じゃあ、ジョージの多重人格の原因はなんなんだ?」
ラストに謎ではなく、最初に伏線を仕込むといいのかもしれない。しかし、その場合、最初は謎だらけにしろということなのか?
「君ならどれを選ぶ?」
「1、元から多重人格者だった。」
「2、バナナが擬人化して、新しい性格が生まれた。」
「3、実はジョージが演じているだけで、多重人格ではない。」
「4、ただ単に「俺の名前を言ってみろ!」が言いたかった。」
「4だ。4しかないだろうが、でござる。」
真理亜は4を選んだ。
「まだ話の途中ですよ!? 師匠!?」
「どうせ、ガパオ流は一子相伝。私の弟子になった時から、おまえは死ぬしかないのだ!」
「なんですと!?」
ガパオ流神拳の一子相伝の掟である。
「おまえの人生に悔いはないでござろう。潔く死ね!」
「はあっ!?」
その時、ジョージが何かに気づいた。
「これは師匠が弟子の私に、師匠の背中を超えていけと言っているに違いない!」
これは優等生のジョージのきれいな妄想である。
「おまえを殺して、祝勝会で回転ずし食べ放題に行くでござる! 100貫は食ってやる! アハッ!」
「分かりました。師匠。弟子としてガパオ流神拳の正統継承者を継がせてもらいます!」
「勝手なアハ師弟でごめんなさい。ペコッ。」
良く出来た妹の楓。
「いくぞ! ジョージ! おまえをみちのく一人旅に送ってやるでござる!」
「師匠こそ! 貸した200円を返してくださいよ!」
「アハッ!」
笑って誤魔化す真理亜。
「200円のためにどちらか一人が死ぬのか。なんて侘しい時代なんだ。」
小学一年生の楓は子供ながらに思った。
「ガパオ流神拳! 奥義! サイキック斬り!」
「ガパオ二刀流! 奥義! トムハンクス! トムクルーズ!」
両者の激しいぶつかり合いで刀から火花が飛び散る。
「これこそ! 天下無敵の暗殺拳! ガパオ同士の戦いだわ!」
妹の楓はちょっとだけアホな姉のことを見直した。
「アタタタタタタタタッタタタタタタタタタッタタタタタタッター!」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラー!」
「アター!」
「オラー!」
一歩も譲らない両者。
「やるようになったな。ジョージ。」
「師匠が自宅でゴロゴロしている間に、こっちはJR中央線街道を一人で強敵を倒しながら進んだんですからね。」
「なに!? なぜ知っている!? 私が自宅でゴロゴロしていたことを!?」
「今の時代はオンラインなんですから。個人のプライベートなんて丸見えですよ!」
「セクハラだ! 覗き! 変態! どスケベ!」
「アハッ!」
笑って誤魔化すジョージ。
「こうなったら私の最終究極奥義を見せる時がきたようだな。」
「最終究極奥義!? まだそんなものを隠し持っているというのですか!?」
「当たり前だ。楽しみに取っておいたプリンが冷蔵庫を開けたらなかったことがどれだけ悲しいことか。悲しみを知る正統継承者の私にしか使えないのが最終究極奥義なのだ!」
次回、真理亜の最終究極奥義がジョージに炸裂する!
つづく。
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