第43話 師弟対決!

「師弟でも、家族でも、人間が二人いれば争いが起こる!」

 例えば、テレビのチャンネルの取り合い。おやつの奪い合い。トイレの順番。人間は争いと共に生きている。

「それでもお友達を求めるのが人間だ! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 姉の真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」

 良く出来た妹の楓の物語である。


 八王子村にやって来た真理亜たち。そこに一人の男が現れる。

「俺の名前を言ってみろ!」

「ジョージ。」

 あっさり言って見せる真理亜。

「正解! 越後製菓!」

 ノリの良いジョージ。

「はあっ!? 師匠!? 師匠じゃないですか!? やっと来てくれたんですね!?」

「イエス! 高須クリニック! アハッ!」

 この師匠に、この弟子ありである。

「どうした? ジョージ。何があった?」

「師匠! 来るのが遅いです!」

「ごめんなさい。」

 口が裂けても渋谷村でゴロゴロしていたとは言えない真理亜。

「実は・・・・・・俺、死んでるんです。」

「え? なんですと!?」

「一人で八王子村までやって来て、悪い継母派の勢力をバッタバッタと切り倒し成敗しました。」

「おお! やったな! ジョージ! さすが我が弟子だ!」

 ジョージは真理亜の弟子で、ガパオ二刀流の使い手である。

「しかし、バナナの皮で足を滑らせて地面で頭を打って死んじゃったんです。」

「バナナ!? 毒矢だとか敵の最後の一撃によって死んだとかじゃないのかよ!?」

「違います。アハッ!」

 弟子も師匠同様、アハ教徒である。笑顔で平和に暮らそう。争うなんてばからしい。お友達最高! それがアハ教の教えである。

「良いキャッチフレーズが出来たので、次話のオープニングトークにコピーして貼っとこう。アハッ!」

 さすが真理亜。アハ師匠。

「お姉ちゃん! 話がズレてるよ!」

「アハッ!」

 良く出来た妹のおかげで話を元に戻す。

「死んだら、もう一人の自分が現れたんです。」

「なに!? もう一人の自分!?」

「グググググググググッ!?」

「どうした!? ジョージ!?」

「もう一人の俺が!? ウワアアアアアー!?」

 突然ジョージが苦しみだす。

「俺の名前を言ってみろ!」

 ガラッとジョージの性格が好青年から傲慢なヤンキーに入れ替わっている。

「どうしたんだ!? ジョージ!?」

「正解! 越後製菓!」

「あ、元に戻った。」

 ジョージは元の優しいジョージに戻った。

「少しでも意識が弱くなると、もう一人の自分が出てくるんです。」

「そういえば聞いたことがある。北斗の拳1で「俺の名前を言ってみろ!」というアホなケンシロウの兄がいたような。そして北斗の拳2で多重人格者の兄もいたような。」

 結果的に二人がコラボレーションしてるような性格になったね。仮にいっとくとパクリではなくリスペクトだ。それに同じ名前ではないから二次創作にも当たらない。性格も違うしね。アハッ! 例えると北斗の拳も聖闘士星矢のパクリだし、宇宙モノはガンダムのパクリになってしまう。そのガンダムも宇宙戦艦ヤマト、キャプテンハーロック、銀河鉄道777のパクリになってしまう。ほとんどの作品が設定は同じでキャラクターを変えてあるだけだし。

「なんかガンガン実名が出て来てるがいいのか?」

「いいんだ。死に文だし。」

 説明しよう。死に文とは、最終的に誰も43話なんか読んでくれない。精々1話でおしまい。内容は関係ない。書籍化や大賞もコネ作者ばかりだし、それなら好きなことを書こう。

「どんな逆境も笑って乗り切ってみせる! アハッ!」

 アハ教の教えである。

「いいな。前向きな文章だ。負け犬で、腐っていて、そこから前を向いて進んで行く。一番、現代人の一般大衆が共感するようなないようだ。」

 進撃の巨人とかね。現代人は負け犬として生まれ、楽しいことや幸せの無いまま負け犬として死んでいく。悪いことでもしないとお金持ちにはなれない。

「悲しいね。」

 きっと生きている人は認めないけれど、悲しいと感じながら生きているのだろう。

「悲しみが止まらない。」

 やはり悲しみと戦うのが〇〇少女ワールドの宿命なのか!?

「誰も笑っていない世の中なんておかしすぎる!? 人間は、人間は、人間は幸せになるために生まれてくるんだ!」

 いいな。次回作の冒頭に使おう。アハッ!

「悲しみ。それは世の中の矛盾。悲しい出来事。人の悪意。それが悲しみ。」

 分かりやすく例えると、水戸黄門スタイル。悪代官に苦しめられる貧乏人。

「悲しみを振り払う! 逆境を乗り越える! 復讐を果たす! それが〇〇少女ワールド! アハッ!」

 悪代官を倒す水戸黄門スタイル。

「物語って、形やキャラクターを変えても、全て内容は同じになるのね。」

 これは物語を作るのが人間である以上、変わることはないだろう。

「選択少女と小さな争い少女。他に題材があるかしら?」

 悩む真理亜。

「あの師匠、私のことは?」

 そこにジョージが割って入る。

「あ、忘れてた。アハッ!」

 笑って誤魔化す真理亜。

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」

 良く出来た妹の楓。

 つづく。

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