第42話 人間は争いが大好きだ!?

「選択少女に続く第二案! 争い少女だ!」

 人間とは争いが好きな生き物だ。直ぐに他人と自分を比べてしまう。そして嫉妬などの負の感情から、いじめ、暴力を振るってしまう。他人の幸せを許さない。他人の不幸が大好きな生き物。それが人間である。

「それでもお友達が欲しいぞ! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコ。」

 こんな姉の真理亜と良く出来た妹の楓の物語である。


「は~るばる来たぜ! 八王子村!」

 決して函館村ではない。

「そうか! マップを日本全国にすればいいんだ! アハッ!」

 新アイデア。

「その次はマップを世界! 宇宙に広げればいいんだ! アハッ!」

 その進化は定番のお約束の展開である。

「異世界ファンタジーといっても、中世ヨーロッパの世界観なだけだからな。」

 未来都市を描くか? それも既にある。

「まだない世界を描かなければいけない。」

 人間が住んでいない世界なら、読み手は共感できないだろうが。

「全て、若しくは全ての物語が「人間が生きている」を前提で書かれている。」

 ウサギだけとか、神だの、悪魔だのの世界に擬人化させても、結局は人間ベースだ。

「それを超える世界を描かなければ!」

 しかし人間が創作する以上、主体を変えても人間でしかない。

「答えは出ている。」

 答えが決まっている。だから、そのような世界、異世界しか描けない。

「だって私たちは人間だもの。」

 哲学はキリがない。ここで止めておこう。

「人の進化を描くしかない! 足にロケットエンジンをつけて空を飛んだり、カワイイ少女がマシンガンをぶっ飛ばしたり。」

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコペコ。」

 決してペコちゃんではない。

「定番の型にはめ込んでいるのが悪かったんだな。」

「定番の方?」

「そうだ。例えば、騎士と騎士がいて戦う。普通だろう。」

「うん。」

「その戦う理由はなんだ?」

「敵同士だからとか、国のため、メンツとかかな? 侵略とか戦争が起こるって、そんな感じだよね。あとは感情のすれ違いかな?」

「そこだ! そこをいじればいいんだ!」

 またアホな展開を思いついてしまった。

「争う理由がスーパーで最後の卵1パックを争うために、命をかけた決闘の理由ならどうだろう?」

「た、卵1パック!?」

 八王子村に衝撃が走る。

「たかが卵1パックのために争いが起こるというのか!?」

「争いが大好きな人間。人間は争いを生み出す悪魔だ。」

 人間が二人いれば争いが起こることは真実である。

「ミジンコの奪い合いでも人間は争いを起こすぞ。」

「ミジンコ!? あんな小さな者のために、人間は戦い、世界を滅ぼすというのか!?」

「戦いに大きいも小さいも関係ないことが分かっただろう。その人の拘りや価値観で、何かを感じたら闘争本能に火が着いてしまう生き物なのだ。それが人間だよ。」

「なんて恐ろしいんだ!? 人間という生き物は!?」

 人間である自分に恐怖する真理亜。

「トイレの順番。満員電車。交通渋滞。物事全ては戦いの火種になってしまうのだ!」

「人間は惨めな生き物なんなんんだ!?」

 戦いが始まってしまう。

「そこで登場するのが、私の第3宇宙艦隊だ!」

「宇宙艦隊!?」

「そうだ! 卵1パックで銀河戦争が起こるのでござる!」

 あくまでも戦争の原因は卵1パック。

「そして人は戦いに勝利するために、科学技術を高めて、核爆弾を作りだしたのだ!」

「卵1パックの争いで、核爆弾が出来たというのか!?」

「その通りだ。」

 核爆弾は卵1パックからできている。アハッ!

「し、知らなかった!? 地球が卵1パックからできていたなんて!?」

 私も知らなかった。

「しまった!? 八王子村にワープしてきたんだった。アハッ!」

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」

 脱線はお約束。〇〇少女ワールド! アハッ!

「助けてください!」

 その時、第一八王子村人が現れた。

「おおー! 懐かしい! この流れ! アハッ!」

 故郷に戻ってきたかのように喜ぶ真理亜。

「どうしたんですか?」

「実は、八王子村の北島家の殿さまが死んで、その息子が跡を継いだんですが、次々と隣村に戦をしかけて略奪を繰り返す暴徒となっているんです!」

「なんだって!?」

 ジョージは世紀末覇者を目指して暴力で領土を拡大していた。

「ワープで八王子村までやって来て良かったでござる。アハッ!」

 真理亜の好きな四文字熟語は自画自賛。

「助けてください! 救世主様!」

「救世主!? 良い響きだ! アハッ!」

 真理亜は救世主という響きに弱かった。

「いいでしょう! 私に任せなさい! 悪者なんか救世主の私が倒してあげます!」

「いよ! 自称! 救世主!」

「アハッ!」

 安請け合いする真理亜。

「元をただせば、一子相伝のガパオ神拳をジョージに教えたのは私だし、責任を取って倒さなくっちゃ。」

 ちょっとだけ真剣な真理亜。

「俺の名前を言ってみろ!」

 その時、男が現れる。

「ジョージ!?」

 なんと現れたのは弟子のジョージであった。

 つづく。

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