第41話 人生は選択だ!?

「ロナ・ウイルスが早く集束しますように!」

 良いことを言って、一般大衆にアピールする姉の真理亜。

「小賢しいお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」

 よくできた妹の楓。

「お友達になろう! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 真理亜、70億人お友達キャンペーン実施中。


「いや~、我が家は良いでござるな。」

 山の手街道一周を終えて自宅でのんびりする真理亜。

「はあ!? しまった!?」

 何かを思い出す。

「ジョージのことを忘れていた!?」

 弟子のジョージは北島家の跡取りで、父親の殿を継母の暗殺計画から守るべく、師匠の真理亜も助けに来てくれると信じて、先に一人で八王子村に向かったのだった。

「君ならどうする!」

 ここで真理亜の頭の中に天使と悪魔? いや、もう一人の自分が現れる。一人二役で安上がり! アハッ!

「1、弟子を心配して、今から後を追いかけて、悪い継母を討つ!」

「2、お茶にする。」

「3、トイレに行く。」

「4、お家でゴロゴロする。」

「5、テレビを見る。」

 少し多めの選択肢が並べられる。

「「君ならどうする! 人生は選択だ!」このセリフ、カッコイイな。タイトルコールに使えるな。アハッ!」

 選択肢以外のことに高揚を感じる真理亜。

「おっといけない!? 選択肢をスルーしていた。」

 やっと気づく。

「1の選択肢はないな。なぜなら今から八王子村に行っては日が暮れてしまう。カワイイ少女の夜道は危険だ。」

 本当は10万字まで後は約1万字。JR中央線街道八王子村行編など書ける尺が無かった。舞台やアニメ化ならちゃんと続編を書くのだが、コネのない素人作家にオファーはない。

「喉が渇いた。お茶を飲もう。アハッ!」

 2の選択肢を選択する真理亜。

「いや~、美味しいお茶ですな。アハッ!」

 お茶を飲む。

「飲み過ぎて、トイレに行きたくなっちゃった。」

 選択肢3を選ぶ真理亜。

「ドボー!」

 トイレの水が流れる。

「スッキリ!」

 トイレから笑顔で出てくる真理亜。

「お家でゴロゴロ! ゴロゴロ! アハッ!」

 4の選択肢をする真理亜。

「ゴロゴロも飽きた。テレビでも見るか。」

 5の選択肢を実行する真理亜。

「速報です!」

「なんだ?」

 テレビからニュースが流れる。

「八王子村の北島家が・・・・・・。」

 ここで選択です。

「1、弟子のジョージが勝って、正式に家督を継いだ。」

「2、継母が勝って、ジョージが張り付け獄門の刑になり死ぬ。」

 さあ、どちらでしょう?

「八王子村の北島家が世界征服を発表しました!」

 答えは、選択肢にはない。でした。

「なんですと!?」

 ビックリする真理亜。

「それでは父も母も何者かに殺されてしまった、新殿、ジョージさんのインタビューです。」

「なんですと!?」

 またビックリする真理亜。

「あ、時代劇だからテレビじゃなくて、瓦版にでもしとけばよかったかな? まあ、いいや。アハッ!」

 面倒臭いので細かいことは気にしないで笑って誤魔化す。

「俺の名前はジョージ! 八王子村の北島家の正当な後継者である! そして俺は天下無敵のガパオ流暗殺拳の使い手!」

「なんですと!?」

 三度、驚く真理亜。

「腕に自信のある奴は八王子村まで来い! 俺様が相手になってやる! ワッハッハー!」

 まるで別人のようなジョージ。

「高青年だったジョージのこの変貌は!? いったい!?」

「力を手に入れたせいだ。」

「師匠!?」

 そこに現れたのは真理亜の師匠、ガパオ・ライスである。

「不法侵入だ! 奉行所に通報しますよ!」

「弟子が帰ってきたから、顔を見に来ただけだ!」

「そうだ! そうだ! ガパオちゃんは悪くない!」

 ガパオ師匠が大好きな楓も現れる。

「チッ、バカップルめ。」

 舌打ちする真理亜。

「師匠、力を手に入れたからとはどういうことですか?」

「それは世の中を自分の思い通りにできるという欲、人の業である。」

 人間の欲望は底なし沼だった。

「我がガパオ神拳は一子相伝。真理亜、ジョージを倒すことができるか?」

「はい。余裕でござるの。アハッ!」

「いや!? そこは「ぬぬぬぬぬ!? 私は弟子を倒さなければいけないのか!?」とか、ためらう所じゃない?」

「師弟関係に妥協はありませんの。アハッ!」

「お姉ちゃんに情けや愛はありません。」

 恐るべしガパオ流神拳の正統継承者。

「しかし、一番の問題が。」

「問題?」

「今からどうやって、渋谷村から八王子村まで行くかでござる。」

 あくまでも尺の心配をする真理亜。

「それならジョージを悪役にしなければいいのに。」

「アハッ!」

 笑って誤魔化す真理亜。

「ぬぬぬぬぬっ!? どうやってJR中央線街道を進もう!?」

 ここで初めて悩む。

「超能力少女なんだから、ワープすればいいんじゃない?」

 楓が悩まずにボソッと呟く。

「おおー! それだ! 私がタイキック少女だということを忘れていた!?」

「サイキック少女だって。お姉ちゃん、少しズレてるよ。」

「アハッ!」

 そして、笑うことによって福来る。

「ワープだ! その名も京王井の頭街道ワープ!」

 この街道は渋谷村から吉祥寺村までつながっているのだが、ワープ街道として別次元の空間街道にされてしまった。

「これで短縮ダイヤルだ! ワッハッハー!」

 高笑いする真理亜。

「でも吉祥寺村から八王子村まで、立川村や国分寺村など、結構、距離があって遠いな!?」

「やっぱり八王子村まで一瞬でワープした方がいいんじゃない?」

「そうするか。」

 こうして京王井の頭街道編は幻となった。

「そうだ! 八王子村に! 行ってみよう! アハッ!」

 真理亜たちはワープした。

 つづく。

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