第40話 共感する!? 選択少女
「みんながお友達になれば世界から争いがなくなる! 〇〇少女ワールド。アハッ!」
真理亜、全世界70億人お友達キャンペーン実施中。
「お父さん! お母さん! ただいま!」
真理亜と楓の父、慎太郎と母のひばりが凱旋してきた娘たちを迎える。
「真理亜! 楓!」
山の手街道一周を達成した真理亜と楓は自宅に戻り、両親と涙を流しながら感動の再会を果たした。
「親に黙ってどこに行っていたのよー! パンチ!」
「ゲホッ!?」
はずだった。
「真理亜! おまえはお姉ちゃんだろう! 妹を危険に巻き込むな!」
「そ、そんな!? 楓が勝手についてきたのよ!?」
自分の無実をアピールする真理亜。
「お姉ちゃんが無理やり私を連れていったの。うえ~ん!」
「怖かったわね。楓ちゃん。もう大丈夫よ。よしよし。」
楓のウソ泣きを信じる両親。
「おかしい!? この世の中!? 何かがおかしいぞ!?」
一人納得のいかない真理亜。
「ピキーン!」
その時、真理亜にアイデアの神が舞い降りる。
「そうか! これだ! この悲劇が一般大衆の共感を呼び、アハ教信者を増やすんだ!」
ゲームの物語って、スキップですよね? 戦闘って、オートですよね?
「要するに気が付いたら放置で強くなっていればいいんだ!」
世は正に放置ゲーム全盛期。言ってしまえば、誰も同じことの繰り返しの戦闘シーンに興味なし。
「18禁のCGだけ見れればいいんだろ!」
それは少し話が違うので却下。
「物語だ! 物語を文字だけだから読まなくてスキップしてしまうんだ! 短くてもいい、もっと分かりやすく、こっちにCGやアニメーションを入れるなり、力を入れればいいんだ!」
そのために毎回、悲劇を繰り返さなければいけない。
「無実の私が妹の策略にかかり、罪を着せられてしまった!? こんなことがあってもいいのか!?」
ここで一般大衆の反応は約3つに分かれる。
「真理亜ちゃん! 可哀そう! がんばって!」
共感し応援してくれる良い人派。
「ざまあみろ! 真理亜! くたばっちまえ! ケッケッケッー!」
他人の不幸は蜜の味の悪い人派。
「・・・・・・。」
別にどうでもいい無関心派。まあ、無名の素人作品など多くの一般大衆は知らないだけ。あえて言おう! 無関心以下であると!
「お姉ちゃん、自分で言ってて虚しくない?」
「虚しいです・・・・・・。」
時に妹は可愛く、時に妹は残酷である。
「そうか! 色々なキャラクターを登場させれば、どれかのキャラクターに自分の価値観と共感させれば、応援してくれるはず!」
正にAKB48商法! 儲かるのは薄汚いオッサンだけ!
「君ならどうする!」
突然、質問を始める真理亜。
「道でお金を拾いました。しかも一両。」
1、奉行所に届ける。
2、ネコババする。
3、無視する。
「ピキーン!」
ここでアイデアの神が舞い降りる。
「人生は選択だ!」
ということで。
「選択勇者!」
じゃない。
「選択少女よ!」
「ある意味、超能力少女よりもレアかも!?」
選択方式で物語を進める。
「1、奉行所に行ってみよう!」
真理亜は奉行所に行く。
「おまえ! スリだな! 捕まえろ!」
「おお!」
悪代官は真理亜を捕まえる。
「え? ええー!? なんでやねん!?」
予想外の事態に驚く真理亜。
「死刑! 打ち首獄門!」
「ギャアアアアアアー!?」
これが正直に奉行所にお金を届けた場合のオチ。
「2、ネコババする。」
真理亜は道で一両を見つけた。
「ラッキー!」
真理亜は落ちているお金を拾ってポケットに入れた。
「御用だ! 御用だ! 御用だ!」
岡っ引きが大量に現れる!
「なんですと!?」
お縄になり奉行所に送られる。
「死刑! 打ち首獄門!」
「ギャアアアアアアー!?」
三択にすると3つ目がオチになる。これが本当の三段オチ。
「3、無視する。」
真理亜は道で一両を見つけた。
「これは罠だ!? 罠に違いない!?」
危機を察知した真理亜はお金を拾わなかった。
「悪いことがないって、幸せなことなんだ。アハッ!」
何もしなかった真理亜は幸せだった。
「このノリの物語を作ろうかしら?」
悪くはない設定である。
「お姉ちゃん、時代劇でござるよ。」
「そうでござったな。私としたことが!? 時代劇、時代劇でござる。アハッ!」
笑って誤魔化す真理亜。
「ご先祖様!? ははあー!」
父の慎太郎は真理亜の呼び出している亡きおじいちゃんとおばあちゃんに平伏す。
「真理亜、楓、ご飯よ!」
母のひばりが久しぶりに帰ってきた娘たちに手料理を振る舞う。
「は~い! 飯だ! 野郎ども!」
「二人しかいないんですけど。」
「アハッ!」
真理亜と楓は食事の匂いに釣られながら食卓に向かう。
「お邪魔してます。」
「遅かったな。もうご飯はないぞ。」
食卓には永遠のお隣さんのアリアと渋谷子が食事をしていた。
「なんでおまえたちが人の家でご飯を食べているんだ!?」
激怒する真理亜。
「ご飯は大神家で食べる設定だ。なんか文句あるか?」
「・・・・・・そうでした。アハッ!」
〇〇少女ワールドのご飯を提供するホストは真理亜の大神家なのだ。
「いや~、平和ですな。」
「ああ!? おじいさん、茶柱が立ってますよ!」
「え? なんだって?」
「茶柱です!」
「なんだって?」
「茶柱です!!!」
「なんだって?」
「茶柱です!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「おお! こいつは春から縁起がいい!」
亡霊の爺さんは耳が遠かった。
「ご飯ー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ご先祖の血を引き継ぐ真理亜であった。
つづく。
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