第35話 悲しみのキョンシー少女

「悲しみから面白いにチェンジ! 〇〇少女ワールド。アハッ!」

 真理亜、70億人お友達キャンペーン実施中。


「私は侍王になるでござる!」

「お姉ちゃんは少女だから、侍女王じゃないの?」

「私は侍女王になる!」

 変わり身の早い真理亜。

「女侍は言いにくいな。女剣士か?」

「〇〇少女ワールドだから、侍少女じゃない?」

「私は侍少女だ! そして侍少女の一番! 侍女王になるのだ!」

 不思議と綺麗にまとまった。

「お姉ちゃん、妖怪を呼び出すのはやめたの?」

「だって正義のヒーローが裏で妖怪とつながっていて、自作自演で妖怪を倒して、村人から感謝されるってストーリーじゃ、良い子の子供たちを騙すことになる。」

 邪な初期設定は変更された。

「でも変更すると、他の作品と同じ流れになるから、採用されているといえば採用されてアニメ作品になっているんでしょうけど、個性が死んじゃっているわね。」

「放送倫理委員会とかで、良いお話じゃないとテレビで放送してはいけないとか決まっているのかしら?」

 その割に、巨人に人が食われて、鬼に人が食われて、宇宙で戦争ばっかりして、人間って、アニメって、戦って人を殺してばかりだ。

「戦わないと、人間じゃないのか? アニメにならないのか?」

「〇〇少女ワールドも戦闘モノ時代劇です」

 結局は、派手な戦闘シーンしか売れないので、アニメから戦闘をなくすことはできない。DVDの売り上げはアニメ制作会社の儲けに関わるからだ。

「不幸スタートではない、ワクワクした冒険に出かける。」

「私がフラれたのは不幸ではないのか!?」

 人が死ぬというまでいかないので軽い不幸だろう。気にしない。

「さあ! 侍少女真理亜は侍女王になるために、武者修行の旅に出かけました。」

「まず、何をすればいいんだろう?」

 冒険の目的、最初からアハ神から授けられた神刀サイキック刀を所持し最強。

「お友達を作る。」

「悪代官を倒す。」

「困っている人を助ける。」

「狩りをする。」

「釣りをする。」

「料理する。」

「施設を建設する。」

「施設のレベルを上げる。」

「アバターを作る。」

「ガチャを回す。」

「恋をする。」

「愛する。」

「結婚する。」

「子供を作る。」

「寿命で死ぬ。」

 世間一般では物語ですることって、こんなものか? 

「例えると、ここは新大久保村だから、駅娘なら新大久保ちゃん?」

「何かゲームが違うような・・・・・・。」

 やはり新大久保は村の名前でしかない。侍少女の名前には向かない。

「お友達の名前は、旧暦忍者にするか? それとも戦国武将の名前? やはり時代劇でアリア、アリス、アースの通例な名前はおかしいよな。」

 鬼にされる時代劇でもカタカナ名前は出なかった。最低限、漢字の名前でやってたな。

「悪代官を戦国武将にしよう。お友達は旧暦忍者を、旧暦侍少女にしてしまおう。」

 忍者と侍の兼任だ。がんばれ! ハミングバード!

「そのノリでいくと、春将軍、夏将軍、秋将軍、冬将軍だな。春子、夏子、秋子、冬子の四姉妹物語は確定。」

 気軽に考えると簡単にできるものだ。アハッ!

「旧暦忍者より、将軍四姉妹を仲間にした方が良いのでは?」

 次々と新案が創作される〇〇少女ワールド会議。

「睦月、如月、弥生が三体合体して、春子になる!」

 ちょっとグロテスクで怖い七英雄の集合体的存在・・・・・・。

「いや。春将軍春子は1月から3月の師匠にしよう。」

 その方が誰も無駄にならなくていい。

「そうなると悪役は全国版では、戦国武将。山の手街道はどうしよう? 時代劇だし、悪代官と妖怪でいいだろう。」

 そこを庶民の困りごと、庶民が憤慨していることに当てはめれば共感を得ることができるだろう。それが時代劇の特権だ。

「そうか。現代とズラしてある時代劇や異世界ファンタジーは現代のお悩みを別の世界ならスカッと解決できますよ。というのが視聴者の共感を得て指示されるのか。」

 あと、そこに大岡裁きの様な感動をプラスしてと。

「いや~、きれいにまとまったな! アハッ!」

 真理亜は自画自賛。 

「助けてください! 救世主様!」

 その時、第一新大久保村人が現れる。

「どうしたんですか?」

「実は悪代官がキムチばかり作らせて、村人からお金を巻き上げているんです。」

「なんて悪い悪代官だ! ぶっ飛ばすぞ!」

 真理亜たちは悪代官を倒すことにした。

「頼もう!」

 代官所へは道場破りスタイルで入場。

「問答無用! ガパオ流奥義! トムヤムクン!」

「魔法刀! 魔法斬り!」

「サイキック刀! サイキック斬り!」

「ガパオ流二刀流奥義! トムクルーズ! トムハンクス!」

「グワッ!? やられた!?」

 真理亜は悪代官を倒す。

「ふっふっふ。ふがいっぱい。」

「なに!?」

 しかし悪代官は倒されていなかった。

「私の正体は妖怪! キョンシー少女キョンキョンなのだ!」

 新大久保村だけに悪代官の正体は韓国妖怪だった。

「問答無用! 超能力少女! 真理亜の名において命じる! いでよ! 神刀! サイキック刀!」

 真理亜の愛刀、サイキック刀が呼び出される。

「くらえ! 必殺! サイキック斬り!」

「ギャアアアアアアー!? やられた!? バタッ。」

 今度こそ真理亜が妖怪を倒す。

「新大久保村! 獲ったぞ!」

「ありがとうございます! 救世主様!」

「アハッ!」

 こうして新大久保村に救世主、真理亜の手によって平和が戻った。

「次の村へ向けて、レッツ・ゴー!」

 真理亜の救世主アハ伝説は続く。

 つづく。

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