第34話 面白いジャイアント少女

「悲しみから面白いにチェンジ! 〇〇少女ワールド。アハッ!」

 真理亜、70億人お友達キャンペーン実施中。


「何か面白い話を考えるんだ!」

 既存で面白い作品がないので、面白い作品を創造しよう。それが初心である。

「ウオオオオオオオオオオー!」

 救世主、真理亜の叫び声が木霊する。

「ピキーン!」

 ここで神々しい光と共にアイデアの神が舞い降りる。

「物語の始まりは不幸である。それにより悲しみを伴う。」

 これが通説である。妹を鬼にされたり、巨人に母親を食べられたり、死んだ母親を召喚しようとしたり、何らかの不幸が問題意識、目的、第一話のインパクト、掴みとなっている。

「これが間違いだ! スタートが不幸前提の物語でいい訳がない!」

 でも上記の例えや、名探偵は殺人事件で誰かを殺すという不幸、時代劇も悪代官が猛威を振るっている不幸。

「ワクワクとした冒険だ!」

 強くなりたい! 俺は海賊王になる! 俺は魔法亭になる! 大きな穴の下に何があるんだろう? 好奇心、探求心。

「大切なことは旅に出ることだ。」

 物語を始めることだ。何もしなければ何も始まらない。

「何もしていなくても、物語は進んでいる。」

 大切なことは、いつも物語が進んでいるということを自覚することだ。

「これならスタートや、冒険を始める動機が不幸ではない。」

 不幸は物語の中で作ればいいのであって、最初から必要ではない。

「誰だって幸せになるために生まれてくるのだから。」

 みんな幸せが大好き。他人の不幸が好きなだけである。

「主人公の動機をどうしよう?」

「え!? 今更!?」

「師匠!? あと5駅くらいしか残ってないんですよ!?」

「そんなことは気にしない。だって私はタイキック少女だから!」

「サイキック少女! お姉ちゃん! 少しズレてるよ!」

「アハッ!」

 お約束の展開。

「私は強くなりたい!」

「日本一の侍になりたい!」

 で、いいや。

「ごめん、俺は強い女が好きだ!」

 好きな男にフラれた。

「ガーン!?」

 ショックを受ける真理亜。

「強くなってやる! 強くなって見返してやる!」

 ダイエットと同じような動機である。

「でも、その場合、私は最初から強いのか? それとも弱いのか?」

 弱いから男にフラれたからすると、結論は、弱い。

「では、どうやって強くなるのか?」

 時代劇なら、武器は刀だろう。

「師匠に弟子入りする?」

 ゴムゴムの実を食べる。亀仙人に弟子入りする。北斗神拳の修行をする。聖闘士になる修行をする。兵士になり戦地で戦う。

「ほぼ修行無くして強くはならない。」

 修行無しで唯一強くなったのが、ゴムゴムの実か。ということは?

「アイテムを拾う、もらう、手に入れるで強くなることも可能。」

 他に人に出会う、雷に撃たれる、妖刀を手に入れるなど。

「好きな男にフラれた私は、バスケットボールをする!」

 スラムダンクか!? あれは身長と最初から飛びぬけた身体能力が要求される。

「神社にお参りに行く。「彼氏ができますように、カッコイイ彼氏ができますように、イケメンの彼氏ができますように、お金持ちの彼氏ができますように。」と。」

 どこまでも広がる邪な心。

「神社で純粋にお参りをしていると、神様が姿を現す。「私はアハ神ちゃん。真理亜ちゃん、あなたに刀を授けよう。」そこでもらったのが、アハの刀。」

 まるでロトの剣。

「サイキック刀はどうしよう。授けてもらったのがサイキック刀にしといて、後から真打として神刀アハ刀としていただこう。」

 聖闘士も神のクロスが最高で、最終的には神威。

「やはり神が最高位なのか?」

 他にあるとしたら伝説の武器くらいか・・・・・・。

「これで旅の準備が整ってしまった!?」

 怖い! 怖すぎる! 自分の才能が怖すぎる! アハッ!

「私は最強の侍王になる!」

 これで冒険の準備は整った。

「助けてください! 救世主様!」

 その時、第一高田馬場村人が現れる。

「どうしたんですか?」

「実は悪代官が漫画ばかり書かせて、村人から印税を巻き上げているんです。」

「なんて悪い悪代官だ! ぶっ飛ばすぞ!」

 真理亜たちは悪代官を倒すことにした。

「頼もう!」

 代官所へは道場破りスタイルで入場。

「問答無用! ガパオ流奥義! トムヤムクン!」

「グワッ!? やられた!?」

 真理亜は悪代官を倒す。

「ふっふっふ。ふがいっぱい。」

「なに!?」

 しかし悪代官は倒されていなかった。

「私の正体は妖怪巨人少女ジャイアントなのだ!」

 高田馬場村だけに悪代官の正体は巨大な妖怪だった。

「問答無用! 超能力少女! 真理亜の名において命じる! いでよ! サイキック刀!」

 真理亜の愛刀、サイキック刀が呼び出される。

「くらえ! 必殺! サイキック斬り!」

「ギャアアアアアアー!? やられた!? バタッ。」

 今度こそ真理亜が妖怪を倒す。

「高田馬場村! 獲ったぞ!」

「ありがとうございます! 救世主様!」

「アハッ!」

 こうして高田馬場村に救世主、真理亜の手によって平和が戻った。

「次の村へ向けて、レッツ・ゴー!」

 真理亜の救世主アハ伝説は続く。

「もうすぐ渋谷村だ! 山の手街道一周だ!」

 真理亜、山の手街道一周まで、4駅。

 つづく。

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