第26話 悲しみの繊維少女

「私がガパオ流ムエタイの正統継承者! 一子相伝にして最強のアハ殺拳! 世紀末アハ救世主! タイキック侍少女、真理亜! ガパオの掟は私が守る! アハッ!」

「こんな姉でごめんなさい。」

 真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中!


「次は日暮里村でござる。」

「ござる、ござる。そうでござる。」

 真理亜と楓の大神姉妹は次の目的地まで、野盗や陸にあがった海賊と戦いながらレベルアップしながら、途中のお茶屋さんでお茶と団子食べて回復しながら山の手街道一周の武者修行の旅をしている。

「師匠! おバカ師匠!」

「こらー! 誰がおバカ師匠だ!?」

 そこに弟子のジョージを加わった。

「みんなでお散歩、楽しいな。」

 そこに真理亜の永遠のお隣さん、魔法少女アリアが加わった。

「分かった!」

 真理亜が何かに気づいた。

「面白くないのは、私たちが圧倒的に強すぎるからよ!」

 自分が強すぎて、一瞬で敵を倒してしまうのでつまらないと異議を申し立てる。

「でも北斗神拳の伝承者やシティーハンター、飛天御剣流使いとかは圧倒的に強いわよ。」

「ムムムッ!? でもキン肉マンとか聖闘士星矢とか進撃の巨人、鬼滅の刃は主人公が弱いスタートよ!」

 果たしてどちらが盛り上がるのか?

「北斗神拳も飛天御剣流も最後に強者に負けて、初めて修行をするって感じだったかな?」

「そういう意味では、最初が弱い方が一歩一歩成長していく、周りのお友達と助け合うという友情と絆の物語になるのかしら?」

「第一巻からの物語というよりは、伝記といった感じね。」

 物語作品のパターンなど、数通りしかない。

「私だけ強くて、周りが弱く、それを守りながら戦う。若しくは、その逆で私だけ弱くて、周りが皆強い。」

「主に自分だけが強いは前者で、自分だけが弱い下克上タイプが後者。」

「人間ってきれいごとが好きだから、下克上が好きなのよね。」

 ここらで話をまとめる。

「この物語は主人公の私が圧倒的に強い。だから悪代官が一瞬で倒せる。」

 それで成り立っている物語である。

「もしも私が弱かったり、負け犬だったら物語としては盛り上がるんだろうけど、こんなに順調に1話で1村を進んで行くことができるかしら?」

 たぶん、無理。

「やはり強さを封印するしかないのか!?」

 途中から弱くするための禁じ手である。

「でも弱くなってもどうかしら?」

「なに?」

「鬼滅の刃も弱いからスタートしたけど、あっさり強くなってラスボス無惨を倒しちゃった。もう終わりよね。」

「ダラダラ続けるだけしらけるのよね。」

「まだ北斗の拳2はいけた。ポセイドン編もいけた。シティーハンター3もいけた。けど、北斗の拳3、シティーハンター4がないのはなぜ?」

「でもハーデース編は逆に盛り上がったわよ。」

「そういう意味では、ドラゴンボールとワンピースとコナンはもう終わってくださいって感じ。」

「サザエさんやドラえもんみたいに日常モノでダラダラと続けていくのが一番おいしい。アハッ!」

 真理亜はメインストーリーをしている自分たちの今後を心配する。

「あの師匠たちは何を言っているのですか?」

「弟子のあなたには早いの。まだまだ修行中でしょ。」

「時代劇でいうと瓦版マンガの話だね。」

 週刊誌は時代劇では瓦版や立て札なのだ。

「時代劇の日常会話って、どんな感じなのかしら?」

「こんな感じでいいんじゃない。」

「アハッ!」

 嬉しがる真理亜。

「ウオオオオオオオオオオー!?」

 その時、真理亜にアハ神様からのお告げがある。

「そうか! そうだったのか!」

 感銘を受ける真理亜。

「全てを時代劇に置き換えればいいのよ! 現代ファンタジーと異世界ファンタジーを! きっとこれはすごいことになるぞ!」

 アハ神様からの神のお告げであった。

「スターウォーズを時代劇にしたのが、蛍ちゃん。時代劇にロボットを足したのが信長ロボ。既にやっているといえばやっている。」

 そこは置いとこう。

「剣は刀。ピストルは火縄銃。ナイトは侍。忍者はアサシン。魔法は妖術。魔法剣は妖刀。自動車は人力車。」

 確かに既に置き換えた作品は多そうだ。

「ということは可能ということだ。」

 大正解!

「後は、どういう方向の物語にしたいのか? ということだね。アハッ!」

 奇跡的に話がまとまった。

「助けてください!」

 そこに第一村人がやって来る。

「ナイスタイミング! アハッ!」

「どうしました?」

「実は・・・・・・悪代官が特産品の繊維をたくさん売るために、村人たちを3交代の24時間勤務で働かせているんです。」

 日暮里村人の悲しみの繊維少女の悲劇的伝説。

「分かりました! 悪代官を倒しましょう!」

「ありがとうございます! 救世主様!」

 真理亜たちは悪代官を倒すことにした。

「頼もう!」

 お約束のスタイルで代官所に乗り込む。

「何者だ!?」

「問答無用! ガパオ流奥義! トムヤムクン!」

「サイキック刀! 楓流奥義! 400連撃!」

「魔法刀! 魔法奥義! 魔法斬り!」

「ガパオ流二刀流奥義! トムクルーズ! トムハンクス!」

 次々と日暮里の悪代官に必殺技を放り込む真理亜たち。

「ギャアアアアアアー!? やられた!?」

 倒された悪代官。

「死ぬな!? そこで何か言い残せ!」

「え!?」

「そこで悪役の名前を叫ぶとか、おまえたちは絶対に先には進めんぞ! とか何かあるだろう!? 話を盛り上げるために何か言い残して死ね! 無駄時には許さんぞ!」

「そんなアホな!?」

 倒れたいけど倒れられない悪代官。

「次の西日暮里では私より強い悪代官少女が待っているぞ! バタッ。」

「30点。まあいい。次回に繋がったな。アハッ!」

 悪代官の無茶ぶりリレー開始である。

「日暮里! 獲ったぞ! アハッ!」

 真理亜の救世主伝説は続く。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る