第25話 悲しみの夜の少女

「私がガパオ流ムエタイの正統継承者! 一子相伝にして最強のアハ殺拳! 世紀末アハ救世主! タイキック侍少女、真理亜! ガパオの掟は私が守る! アハッ!」

「こんな姉でごめんなさい。」

 真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中!


「次は鶯谷村でござる。」

「ござる、ござる。そうでござる。」

 真理亜と楓の大神姉妹は次の目的地まで、野盗や陸にあがった海賊と戦いながらレベルアップしながら、途中のお茶屋さんでお茶と団子食べて回復しながら山の手街道一周の武者修行の旅をしている。

「師匠! おバカ師匠!」

「こらー! 誰がおバカ師匠だ!?」

 そこに弟子のジョージを加わった。

「みんなでお散歩、嬉しいな。」

 そこに真理亜の永遠のお隣さん、魔法少女アリアが加わった。

「そうか。鬼滅の刃は現代編か・・・・・・。」

 無惨を倒したら、時が流れたらしい。賛否両論。延命しないで盛り上がった所で止めればアニメは優秀な作品だったのに。

「あれ? 〇〇少女ワールドって、現代ファンタジーで始まって、今回は時代劇・・・・・・ということは!?」

「その逆もしかり蹴り。」

 作品展開的には素人がプロと同じようなことを考え着いている。負けないもん。

「結局、人間なので展開には限界がある。違うのは、同じでも面白いと思って書き続けることができるかどうかだね。」

「クッ!? さすが我が永遠のお隣さん!? いいことばっかり言うな!?」

 真理亜と違いアリアは頭が賢いのであった。

「え? 私じゃないよ。魔法にセリフを考えさせてるんだ。私はそれを読んでいるだけさ。」

「初めまして。魔法作家少女のサッカちゃんです。」

 このようなネタは昔にも使ったような気がする。

「インチキだ!? 私の感心を返せ!」

「パンダちゃんはこういう人間です。ペコッ。」

 こういう人間でなければ真理亜のお友達は続けてられない。

「メインストーリー重視だと、終わっちゃうから、日常の一話完結型メインで長寿アニメを目指すと。」

 それが答えだ。

「どういう物語にすれば面白くて、どういう設定にすれば面白くて、どういうコネがあればアニメ化されるのか?」

 それが全てだ。

「・・・・・・。」

 悩み過ぎてフリーズする面々。

「お!?」

 そして一日が過ぎて意識を取り戻す。

「分かったぞ! 分かったぞ!」

 そして真理亜にアハ神様のお告げがある。

「どうすれば面白いかは分からないが、現実を考えた時に面白くなくなる! それが答えだ!」

 笑いの神アハ神様はすごい神様なのだ。

「空想! 幻想! 妄想! 笑いで世界を支配する。それがある意味邪教、アハ教の教えだ!」

「え!? アハ教って、邪教だったの!?」

「そうだよん~。アハッ!」

 冗談です。

「今回は早い生還だ。」

「師匠はいつもこんな感じなのですか?」

「そうだよ。子供の頃から現実に負けては立ち上がり、現実に負けては立ち上がり、努力と根性と友情で今まで何とか生き残って来たんだよ。」

「そうか!? もしかしたら師匠は何回も死の淵から帰ってきたレジェンドなんだ!?」

「この弟子、面白い。さすが真理亜ちゃんの弟子だ。」

 アリアはジョージをからかって楽しむ。

「テレビアニメのセリフって、文字に戻しても1話5000字もいかないんだよね。戦闘シーンとか歌を歌っているシーンで尺を多めに取るから。」

「派手な戦闘シーンと派手なライブのシーンが結局は一番盛り上がるからね。そこでDVDの売り上げと視聴率が決まってくるし。」

「そこにいくまでの「皆でがんばるぞ!」「おお!」とか、「私なんかダメだよ!?」「そんなことないよ! 助け合いましょう!」「そうよ! 私たちはお友達よ! アハッ!」「夢は諦めなければ、きっと叶う!」みたいな共感を誘うフレーズって、結局は前座なのかな?」

「優勝しなくても、そこまで頑張って素敵な思い出を手に入れたとか、負けたけど自分が成長できたとか、皆で一緒に頑張れたのが私の青春です! とか話をまとめているだけで、最終的には負け惜しみ。」

「確かに三国志や戦国時代なら滅んでいますな。アハッ!」

「いいじゃん! 夢を見ることは自由だ! 憲法にも創造の自由がある。」

 あった気がする。

「幻想! 空想! 妄想! 無双! 夢想! 奇想!」

「面白いな。変な所で創造が広がっていく。」

「アハッ!」

 創作することは面白くなければいけない。

「助けてください!」

 そこに第一鶯谷村人少女がやって来る。

「どうしたんですか?」

「実は・・・・・・悪代官が村の女たちをキャバクラや風俗に売り飛ばして破廉恥な行為や不純異性行為をさせて、お金儲けをしているんです。」

 夜の少女の悲劇的不幸。

「わっかりました! 私たちにお任せください! なんせ私は救世主ですから!」

「ありがとうございます! 救世主! 真理亜様!」

「良い響きだわ! アハッ!」

 救世主という響きに酔いしれる真理亜。

「頼もう!」

 代官所には道場破りスタイルで登場する。

「何者だ!」

「控え! 控え! このお方をどなたと心得る! 救世主! 真理亜様であらせられるぞ! 頭が高い! 控え!」

 おじいちゃんとおばあちゃんの亡霊が口上する。

「救世主様!? こんなところに救世主様がいらっしゃるはずがない! でやえ! でやえ! 曲者だ!」

「はあ!」

 悪代官と悪代官の家来の侍たち。

「降参しないというのなら仕方がない。天に代わって成敗する。」

 こうして派手な斬り合いが始まる。

「ガパオ流奥義! トムヤムクン!」

「サイキック刀! 300万連撃!」

「魔法刀! 魔法斬り!」

「ガパオ流二刀流奥義! トムクルーズ! トムハンクス!」

 結局、戦闘シーンやライブシーンは小説ではカットされるのがお約束。

「おまえはもう生きていない。」

「む、無念。」

 真理亜たちは悪代官を倒した。

「ありがとうございました。救世主様!」

「当然のことをしたまでです。アハッ!」

 こうして鶯谷村に平和が訪れた。

「さあ! 次行ってみよう!」

 真理亜の救世主伝説は続く。

 つづく。

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