第24話 悲しみのパンダ少女

「私がガパオ流ムエタイの正統継承者! 一子相伝にして最強のアハ殺拳! 世紀末アハ救世主! タイキック侍少女、真理亜! ガパオの掟は私が守る! アハッ!」

「こんな姉でごめんなさい。」

 真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中!


「次は上野村でござる。」

「ござる、ござる。そうでござる。」

 真理亜と楓の大神姉妹は次の目的地まで、野盗や陸にあがった海賊と戦いながらレベルアップしながら、途中のお茶屋さんでお茶と団子食べて回復しながら山の手街道一周の武者修行の旅をしている。

「師匠! おバカ師匠!」

「こらー! 誰がおバカ師匠だ!?」

 そこに弟子のジョージを加わった。

「みんなでお散歩、嬉しいな。」

 そこに真理亜の永遠のお隣さん、魔法少女アリアが加わった。

「私たちは、もう精鋭揃いだから、どんどん北島家の悪い奥方に戦力を送ってやろう。」

「あんまり良い予感がしないな。」

「アハッ!」

 真理亜の打算の怖さを知っているアリア。

「用心棒の先生、妖刀、蛍光刀の使い手の蛍ちゃんを飛脚便で郵送しよう。」

 蛍ちゃんとはパッと光る刀をもった侍。

「そういえば、蛍ちゃんの妹の名前も楓だったような?」

「細かいことを気にしていると大きな大人になれないぞ。アハッ!」

「こんな姉でごめんなさい。」

「相変わらず良く出来た妹さんだ。」

 真理亜、楓、アリアの三人が揃えば、いつもこんな会話である。

「私と同じ名前の少女か・・・・・・会ってみたいな。」

 蛍光刀。いつ蛍は光るのか? 良く出来た過去の作品でした。 

「他にもプレゼントを送ってやるか! アハッ!」

 悪乗りする真理亜。

「嫌な予感しかしない!? 今度は誰を送るの?」

 アリアは戦々恐々としている。

「宇宙歴史0001 信長ロボ!」

「時代劇にロボットを出すな! ロボットを!」

「エレキテルで動くならいい?」

「本当のことを言ってごらん。」

「実は宇宙にも行ける隕石がエネルギー源です。」

「却下。そんなものを敵に送って、私たちはどうやって戦うのよ?」

「魔法とタイキック。」

「魔法とサイキックよ。お姉ちゃん、少しズレてるよ。」

「アハッ!」

 誤魔化す真理亜。

「もうダメだ!? 作品が多すぎて過去の作品のキャラクターを管理できない!?」

 逆ギレする真理亜。

「別にそこに拘らなくていいんじゃないかな? 新しく面白い物語を、新しいユニークなキャラクターを生み出せばいいんじゃないかな?」

「アリアちゃん、他人事みたいに気軽に言わないでよ。」

「アハッ!」

 笑って誤魔化すアリア。

「本当にお姉ちゃんとパンダちゃんはそっくりだわ。」

 類は友を呼ぶ。

「助けてください!」

「出たな! 第一村人! 今日の悲劇的伝説はなんだ?」

「実は・・・・・・悪代官がパンダが中国に帰っていないので、村人にパンダの着ぐるみを着せて困っているんです。」

 上野村の悲劇的伝説。

「別にいいじゃない。パンダなら可愛いし。」

「そうよ。ここには私にパンダちゃんと呼ばれる少女だっているんだから。」

「なんだか嬉しいな。私のお友達が増えたみたいで。」

 微動だにしない偽救世主御一行。

「あ、あんたたち!? それでも救世主か!?」

「いいえ。私は偽救世主です。アハッ!」

 開き直る真理亜。

「あ、いけない!?」

「どうしたの?」

「ジョージを止めないと、悪代官を倒してしまう!?」

「そんな!? 悪代官が倒されたらパンダ祭が終わってしまう!?」

「姉妹で、どんな心配をしているんだよ。」

 真理亜たちは非常に仲が良かった。

「なんだ!? こいつらは!? こんな奴ら、絶対に救世主様なんかじゃねえ!?」

 村人少女は真理亜たちにガッカリした。

「師匠! ただいま戻りました!」

 弟子のジョージが帰ってきた。

「悪代官を倒してきました。これで村人の皆さんも普通の姿で暮らせます。」

「バカ者!」

 突然怒り出す真理亜。

「師匠!? なぜ起こるのですか!?」

「おまえには分からぬのか! 村の人々は悪代官に虐げられているフリをしていただけだということを!」

「なんですと!?」

「かわいいパンダの着ぐるみを着て街を歩くなんて貴重な体験だ! だから村人たちは強要されているふりをして、パンダの着ぐるみを楽しんでいたのだ!」

 真理亜の勝手な言い分である。

「そ、そうだったのか!? 知らなかったとはいえ、私は何という罪を犯してしまったんだ!? 僕は取り返しのつかないことをしてしまったんだ!?」

 公開に苛まれるジョージ。

「おまえらはアホか。」

「こんなお姉ちゃんたちでごめんなさい。」

 呆れるアリアと楓。

「師匠! 私が間違っておりました! どうかお許しください!」

「分かればいい。分かれば。」

「ありがとうございます。」

 これにて一件落着した。

「我々には、全く救う気配すら見せなかったのに、気が付いたら悪代官を倒している。そして自分の弟子にも強く当たる。まさに人の鏡だ! いや、救世主様だ!」

「ありがたや! ありがたや!」

 村人たちは真理亜に手を合わせて拝むのだった。

「どうやら村人には私の偉大さが分かったようね。拝むぐらいならお賽銭を頂戴。おひねり、寄付金も募集してるわよ。」

「ははー! 救世主! 真理亜様!」

「アハッ!」

 真理亜は人々の悲しみを蹴り飛ばし、明るく前向きに人々が生きていける様に平和な世の中を作って行くのであった。

「また来週! アハッ!」

 真理亜様救世主御一行の旅はまだまだつづく。

 つづく。

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