第23話 悲しみの見知らぬ少女

「私がガパオ流ムエタイの正統継承者! 一子相伝にして最強のアハ殺拳! 世紀末アハ救世主! タイキック侍少女、真理亜! ガパオの掟は私が守る! アハッ!」

「こんな姉でごめんなさい。」

 真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中!


「次は御徒町村でござる。」

「ござる、ござる。そうでござる。」

 真理亜と楓の大神姉妹は次の目的地まで、野盗や陸にあがった海賊と戦いながらレベルアップしながら、途中のお茶屋さんでお茶と団子食べて回復しながら山の手街道一周の武者修行の旅をしている。

「師匠! おバカ師匠!」

「こらー! 誰がおバカ師匠だ!?」

 そこに弟子のジョージを加わった。

「みんなでお散歩、嬉しいな。」

 そこに真理亜の永遠のお隣さん、魔法少女アリアが加わった。

「ストップ! アリアちゃん。時代設定は時代劇だから、あなたは魔法少女ではない! 魔法少女侍よ!」

「なんだって!? スターウォーズでいう所のライトセイバー使いが時代劇では妖刀使いの侍扱いだって!?」

「そうよ! アリアちゃん! あなたは、魔法少女侍よ!」

「魔法少女侍!?」

 衝撃を受けるアリア。

「そういう私もタイキッく侍少女よ!」

「サイキック侍少女だよ! お姉ちゃん! 少しズレてるよ!」

「アハッ!」

 お約束の展開。

「私はサイキック侍少女の妹です。ペコリ。」

「良く出来た妹さんだ。」

「よく言われます。アハッ!」

 楓のお約束の展開。

「しまった!?」

「どうしたの?」

「こんなつまらない自己紹介的なモノに大切な尺を使ってしまった!?」

 後悔する真理亜。

「旅の目的もできた。」

 北島家の御嫡男ジョージを無事に新宿村まで届ける。

「ヒーローもできた。」

 猿ではない北島家の跡取りジョージである。

「敵役もできた。」

 奥方の悠里、家来の北山、大江。

「ライバルもできた。」

 魔法少女侍アリア。

「あとは弥七か飛び猿が欲しいわね。」

「水戸のご老公様かよ!?」

「アハッ!」

 お約束の展開。

「このスタイルで私たちがお奉行というのは無理だから大岡裁きは諦めるか。」

「珍しい。素直にお姉ちゃんが諦めた。」

「アリアちゃん、服を脱いで。」

「なんで?」

「桜の入れ墨を掘るんだ。」

「遠山の金さんは諦めないんだ。」

「アハッ!」

「笑ってないで、入れ墨を掘るなら自分の体に掘りなさい!」

「お許しください!? 勘弁してください!? アハッ!」

 笑って誤魔化す真理亜。

「でも忍者か忍びはいても面白そうね。」

「だろ! 私の言った通りじゃないか! アハッ!」

「調子に乗るな。入れ墨を掘っちゃうよ。」

「やめて!? 勘弁してください!? お嫁に行けなくなります!?」

 入れ墨は断固拒否する真理亜。

「忍者に知り合いか・・・・・・いるにはいるけど、へっぽこよ。」

 思い当たる忍者がへっぽこなのである。朝の連続小説にできそうなくらい。

「そもそも忍者って、カッコイイものなのかな?」

「う~ん。どうでしょう? いわゆる一つの忍者ですね。アハッ!」

 茂雄風。

「仮に私たちのジョブを忍者設定にする。職業が忍者でアビリティーが魔法少女。真理亜ちゃんと楓ちゃんは超能力少女。」

「ダメだ!? 侍でも強いのに、忍者なんかにジョブチェンジできたら、スピードもアップして、2回攻撃が2億攻撃位になってしまう。」

「はい! 楓! 忍者になる! そうすれば代官所も一撃で2億回攻撃で粉砕できるもん! アハッ!」

 楓は侍を捨てて忍者になった。

「くのいち小学一年生、楓ちゃん。アハッ!」

 完璧なタイトル。

「ぬぬぬぬぬ!? 不味い! このままでは主役の座を楓に奪われてしまう!?」

 真理亜に募る妹に負けているという危機感。

「こうなったら、敵役で忍者が必要だわ。」

 味方には楓がいるので、ダブってしまうので、これ以上の忍者は要らないのだ。

「北島家の悪い奥方様にプレゼントを送っておくか。」

「プレゼント?」

「ゾンビ忍者少女のイリアちゃんと、旧暦忍者少女の睦月ちゃん。」

 イリアは真理亜のお隣のゾンビ少女。睦月は由緒正しき旧暦家の一人娘忍者。

「今度、近所に朽ち果てたお城を建てなくっちゃ。」

「朽ち果てたお城?」

「旧暦家の睦月ちゃんの家よ。城跡だけの設定にして野宿させるのもいいわね。忍者らしく。」

「お姉ちゃんは鬼だ!?」

「誉め言葉と受け取っておくよ。アハッ!」

 前向きな真理亜。

「時代劇の職業って、少ないんだね。」

「そうみたいね。殿。代官、奉行、家来、家臣、足軽、槍、鉄砲、騎馬、武将とかかな?」

 多様性のない時代劇。

「こうなったら最終手段少女よ! 八百屋! 魚屋! 材木屋! 越後屋! 桔梗屋! お寺! 和尚! 坊主! 定食屋! 飛脚! 殺し屋! 用心棒! 幽霊! お化け! 火消し! こんなものかしら?」

「戦闘タイプじゃないのがかなり混じってるわね。」

「八百屋は大根で侍と戦うのよ!」

「死んじゃうわよ!?」

「アハッ!」

 細かいことは気にしない真理亜。

「助けてください!」

「やっと来たわね。第一御徒町村人。」

「実は・・・・・・悪代官が御徒町は有名じゃないと拗ねてしまって、見知らぬ人ばかりで会話しちゃあダメって言いだしたんです。」

 御徒町的悲劇的伝説。

「安心しなさい。既に我が弟子が悪代官を倒しに行ってます。」

「師匠! ただいま戻りました。」

 そこに弟子のジョージが戻ってきた。

「首尾はどうだ?」

「はい。悪代官は倒してきました。」

「よくやった! さすが我が弟子だ!」

「これも師匠が修行をつけてくださったおかげです。」

「アハッ!」

 弟子の成長を嬉しく思う真理亜であった。

「それでは次の村に行きましょう。アハッ!」

 真理亜御一行の世直し旅はまだまだ続く。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る