第19話 悲しみの百貨店少女

「私がガパオ流ムエタイの正統継承者! 一子相伝にして最強のアハ殺拳! 世紀末アハ救世主! タイキック侍少女、真理亜! ガパオの掟は私が守る! アハッ!」

「こんな姉でごめんなさい。」

 真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中!


「次は有楽町村でござる。」

「ござる、ござる。そうでござる。」

 真理亜と楓の大神姉妹は次の目的地まで、野盗や陸にあがった海賊と戦いながらレベルアップしながら、途中のお茶屋さんでお茶と団子食べて回復しながら山の手街道一周の武者修行の旅をしている。

「バカ弟子ー!」

「犬を弟子にしたのが間違いだった。」

 結局、本当に犬弟子のアパは戻って来なかった。

「弱い所から始めるって難しいわね。」

「そもそも1クールや10万字1冊だと、強くないと終われないというのが現実よ。」

 ラノベの世界での常識である。

「新キャラで弱いのを一からやるか?」

「それじゃあ、私とお姉ちゃんのこれまでの奇跡が経験値にはなるが存在が消えてしまう。」

「どうする? どうすればいい? 教えてください! アハ神様!」

 真理亜と楓は天に祈った。

「封印されちゃおう! サイキックを! アハッ!」

 アハ神は二人にアドバイスを送る。

「封印!? その手があったか! さすがアハ神様だ! アハッ!」

「ありがとうございます! アハ神様! アハッ!」

「またね! アハッ!」

 アハ神は天に消えていった。意外にアハ神は神様をやっていたのだ。

「じゃあ、まず楓の連撃を封印しましょう。代官所まで破壊するなんて悪魔の行いよ。」

「いいえ。それよりもお姉ちゃんの超能力を封印するべきよ。」

 誰もが自分の強い能力を失うのは怖いのだ。

「ぬぬぬぬぬ!?」

 いがみ合い目から光線を出しまくる姉妹。

「分かった。こうしましょう。今の上位種の能力は失わない。ただし、今の強さになるまでの物語を描けばいいんだわ。」

「それもそうだけど、強くなり過ぎた先には何があるのだろう?」

 終わりしかない・・・・・・のかもしれない。後は日常に逃げるのか。冒険モノのドラゴンボールが終わり、逆に日常モノの繰り返しのサザエさんやドラえもんは続いている。これが結果かもしれない。

「ということで、侍になるまでや、超能力者になる物語を描かなければいけない!」

 力強く叫ぶ真理亜。

「でも、ちゃんと超能力者になる所、ベットから起きて奇跡的に超能力者になる所から描いているわよ。それに超能力者になる葛藤も描いているわよ。」

 間違っていないという楓。

「やはり、困ったことから弱い人々を守り、悪を討つ。」

「正義貫徹。これが勝利の方程式ね。」

 大神姉妹の話し合いはまとまった。

「助けてください!」

 その時、第一有楽町村人少女が現れた。

「さあ! 迷える子羊たちよ! 何でも言ってみなさい! 私は救世主の真理亜です! アハッ!」

「はい。有楽町村の悪代官が村人に百貨店の衣装を着せて遊んでいるんです。」

 有楽町村人たちの悲劇的伝説。

「よし! 有楽町村の悪代官を懲らしめるぞ!」

 まさに毎回が水戸黄門。

「はあ!? ということは、徳川の印籠でなく、救世主、真理亜様であるぞ! 頭が高い! 控え! 控え! ってことね。アハッ!」

 アイデアの神が舞い降りる。

「そうか、時代劇でたどり着いたのがご老公の印籠か。アハッ!」

「助さんと格さんも必要ね。アハッ!」

 話がまとまった。

「いざ! 代官所へ!」

 真理亜たちは代官所に向かう。

「頼もう!」

 代官所に着いた真理亜たち。

「やい! 悪代官! 村の人々を苦しめるのはやめろ!」

「何を!? 憧れの百貨店の制服を着せてやっているのだぞ! ありがたく思え!」

 口撃は同点だった。

「この狼藉者め! おまえはいったい何者だ!?」

「控え! 控え! うちのお姉ちゃんを誰だと心得る! 偽救世主! 真理亜様であらせられるぞ! 頭が高い! 控え! 控え! アハッ!」

「ナイス! 偽救世主という所が気に入った! さすが私の妹よ! アハッ!」

「だってお姉ちゃんの妹だもん! アハッ!」

 アハ姉妹は絶好調。

「私がガパオ流ムエタイの正統継承者! 一子相伝にして最強のアハ殺拳! 世紀末アハ救世主! タイキック侍少女、真理亜! ガパオの掟は私が守る! アハッ!」

「こんな姉でごめんなさい。」

 無事に向上を終える真理亜。

「ぬぬぬぬぬ!? 救世主だと!? この荒れ果てた世の中に救世主などいるものか!? でやえ! でやえ! 救世主様を名乗る不届き者だ! 懲らしめてやれ!」

「ははあ!」

 悪代官の呼びかけに家来の侍たちが刀を抜いて斬りかかろうとする。

「だから最初っから偽救世主だって名乗ってるっーの。助さん! 格さん! 懲らしめてやりなさい!」

「・・・・・・。」

 しかし、誰も返事はしなかった。

「しまった!? 助さんと格さんがいないんだった!? アハッ!」

「こんな姉でごめんなさい。少しズレてるんです。アハッ!」

 姉妹共に少しズレている。

「大サービス! 220万連撃! だだだだだだっだだだだだだだだだだだだっだだだだだだだだだだっだだだだだだだだだだっだだだだだだだっだだだだだー!」

 妹の楓は幼いころから連続攻撃の練習をしていた。気がついた頃には220万連撃ぐらいはお手の物。

「チッ、1分ジャストか。もうちょっと早くしたいな。」

 そして悪代官を代官所ごと木端微塵にフルボッコする。ゲームとしては連打して代官所に連撃を食らわして破壊するゲームが想定される。

「これにて一件落着。アハッ!」

「ありがとうございます! 偽救世主様!」

 有楽町村の人々は真理亜たちに感謝した。

「次は助さんと格さんを探さなくっちゃ! アハッ!」

「今度は大岡裁きか、桜吹雪の遠山の金さんにしようよ。アハッ!」

 愉快な大神姉妹の山の手街道の解放の旅は続く。

 つづく。

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