第4話 道場破り少女

「微笑みで世界を支配する! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 真理亜、アハ教の信者10億人キャンペーン実施中!


「ギャアアアアアアー!? いい加減に下ろしてくれ!? 私が何をしたというんのだ!?」

 真理亜は再び磔獄門の刑に処せられている。

「カワイイ楓に歯向かうからだ! アハッ!」

「さすがガパオちゃん! よく分かってる! アハッ!」

 カワイイ孫に惑わされたおじいちゃんの図。

「私が干乾しになって天に召されたら恨んでやるからな!」

「安心しろ。真理亜、おまえは地獄行じゃ。」

「なんで私が地獄なのよ!?」

「それはカワイイ私に歯向かったからよ! アハッ!」

「おお~! 私のカワイイ孫よ! アハッ!」

「クソジジイ!?」

 孫の前では師のガパオも形無しだった。

「頼もう!」 

 その時、ガパオ・ムエタイ道場の門を開く者がいた。

「何者じゃ?」

「私は道場破りだ! おまえのガパオライスを破りに来た! いざ! 尋常に勝負だ!」

 現れたのは道場破りの少女だった。

「あ、野盗だ。元気してた? アハッ!」

「お星さまになった少女だ。アハッ!」

 道場破り少女の正体は野盗少女だった。

「なぜ!? おまえたちが!?」

「ご飯を食べに来たのさ。アハッ!」

「ガパオちゃんのご飯は美味しいよ。アハッ!」

 アハ姉妹完成。

「おまえたちはどうでもいい! おまえがここの師範だな! 私と勝負しろ! 私が勝ったら道場の看板は貰っていく!」

 道場破り少女の目的は、ガパオ・ムエタイ道場の看板だった。

「いいだろう。」

「師匠!?」

「ガパオちゃん!?」

「ただし戦うのは私ではない。」

「なんだと?」

「おまえと戦うのは、弟子の真理亜だ。」

「なんですと!?」

 道場破り少女と戦うことになる真理亜。

「なぜですか!? 師匠!? 自分が戦うのが怖いからって、私に振るのはやめて下さい!? それでも師匠ですか!? 弟子を守るのが師匠でしょ!?」

 無駄な抵抗をするおバカ弟子。

「そうだ。私もSMごっこが好きなおバカな少女は相手にしたくない。おまえが戦わないというなら道場の看板は勝手に貰っていくぞ。」

 まだ真理亜は磔獄門の刑にあっている。

「待て。」

 土足で道場に入っていく道場破り少女を止めるガパオ師匠。

「私のガパオライスは一子相伝。既に私の代は終わり、正統継承者は、そこのおバカ弟子だ。」

「なに!?」

「ここの道場はおバカ弟子のものだ。道場の看板が欲しければ、真理亜を倒していくんだな。」

「なんでそうなるの!?」

 ガパオ師匠から、ガパオライスは真理亜に託された。

「分かった。そうしよう。」

「納得すな!?」

 道場破り少女は真理亜に近づいて行く。

「やめろ!? 抵抗できない私に勝って嬉しいか!? 勝負するから縄を解いてくれ!?」

「誰が解くか! そのまま木刀で100叩きにしてくれるわ! 今度、頭にお星さまとヒヨコを飼うのはおまえの番だ!」

「すごい! 真理亜お姉ちゃん、頭にヒヨコが飼えるんだって! 良かったね。アハッ!」

「良くない!?」

 100叩きでボコボコにされ、ピヨピヨ状態にされながら、さらに磔のまま太陽の光で干物にされ、カラスのえさになる未来を想像する真理亜。

「師匠!? 助けてください!? 今度来るときは手土産を持ってきますから!?」

「そんなもん要らんわい。楓がいれば、それだけでOKじゃ。アハッ!」

「わ~い! ガパオちゃん、ありがとう。アハッ!」

 アハ祖父と孫娘。

「それに真理亜よ。おまえはガパオライスの正統継承者。おまえは負けることは許されん。それが絶対に無敵のガパオの掟。縄ぐらい自分で弾き飛ばさんか。」

「ええー!? そんなの無理ですよ!? 体を動かすと縄が変に食い込んで気持ちいいし、私は巨乳設定でもないので縄を弾き飛ばすことなんてできませんよ!?」

「何を言っとるんじゃ。おバカ弟子。」

「おバカお姉ちゃん。妹として恥ずかしいわ。」

 真理亜にがっかりする師と妹。

「気合を入れて神経を集中しろ。自分の中に流れている気を自由に操るんじゃ。」

「気?」

「そう、気じゃ。気とはサイキックや超能力と言われているもので、怒りや悲しみなど人の心により爆発するものじゃ。」

「ガパオちゃん、修行中にお姉ちゃんに気を教えなかったの?」

「忘れてた。アハッ!」

「忘れないで下さいよ!?」

 笑って誤魔化すのは師匠譲りであった。

「死ね! SM変態少女! 必殺! 我流! 木刀100叩き!」

 迫りくる道場破り少女。

「誰がSM変態少女だ! ああああああああああああああああああああああー!」 その時、SM変態少女を否定する真理亜の怒りの心がサイキックに目覚める。

「おお! ロープを吹き飛ばした!」

 巨乳でもないのに真理亜がサイキックでロープを吹き飛ばし自由の身になった。「おお! やったー! さすが我が弟子だ! アハッ!」

「さすが楓のお姉ちゃん! アハッ!」 

 自画自賛の師と妹。

「ガパオの掟は私が守る!」

 ガパオライスの正統継承者としてサイキックに目覚める真理亜。

「磔の刑にされた私の悲しみはおまえには分かるまい! くらえ! ガパオライス奥義! トム・ヤム・クン!」

 ただのタイキックである。

「ギャアアアアアアー!? またね~!」

 道場破り少女は蹴られて吹き飛ばされて星になった。

「さすが我が弟子だ。アハッ!」

「平和っていいね。アハッ!」

 好き勝手言う師と妹。

 つづく。

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