第49話


凪が何階を押すのか気になり、じぃーっと見つめていると「クスッ」と凪が笑った。


「なにをそんなに真剣に見ているの華?」


「え・・・何階に住んでいるのかなぁ~って思って」


「そんなこと?見てなくても直接聞いてくれていいのに。10階だよ」


凪はそう言って、エレベータの10階のボタンを押した。


でも、10階って王族関係者専用の寮だって教わったんだけど・・・。

凪って王族なの?

でも、ナギという王族がいることを私は知らない。

仮にも私は公爵家の娘。

王族に嫁ぐ可能性もあるので、そのための教育は幼い頃からされてきた。

だが、ナギという王族はいなかったと記憶している。


「凪は・・・王族なの?」


「うん。知らなかった?」


「知らない。ナギなんて王族、私は知らないわ」


「ナギって名前じゃないからね。ナギは猫の姿の時の名前。人の姿の時の名前は・・・」


凪が名前を告げかけたそのときちょうど、エレベーターが10階についた。


凪がエレベーターの開くボタンを押していてくれたので、私は先に10階に足を下ろす。

次いで凪がエレベーターからおりて、「こっちだよ」と私を部屋まで案内してくれた。


流石10階。

1階とは違ってさらに豪華な作りになっている。

しかも、不審者対策なのかエレベーターの真正面に男性の使用人が2人立っている。


私は公爵家の令嬢だから女子寮では4階に部屋がある。

女子寮は5階建てなので5階が王族専用の部屋になっている。

5階にはまだ行ったことがないが4階内装はこんなに豪華ではないし、エレベーターホールには1人しか護衛が立っていない。

この護衛も女性だ。


王族は待遇が全然違うのね・・・。


関心しながら凪に手を引かれながら先を進んでいく。

途中いくつものドアがあったが、それらには目も触れなかった。


どこまで行くんだろう?


「ここだよ」


凪は一際豪華なドアの前に立った。

すると、ドアが自動的に内向きに開いた。


「この部屋はね僕の魔力に反応するようになっているんだ。だから僕と僕が許可した人にしか開けることができない。さあ、入って華」


「お邪魔しまーす」


私は、凪に言われるがまま、凪の部屋に足を踏み入れた。


足を踏み入れてみれば、ふかふかの絨毯。

私の部屋とは違う感触が足に伝わってくる。





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