第13話

恐る恐る目を開けると、私の目の前には黒が広がっていた。


そう、ヒロインちゃんの手首をナルニエール様が、ガシッと押さえていたのだ。


どうりで、痛くないはずだ。




「どうして!どうしてマクロン様は、悪役令嬢を庇うのよ!!」




「レコンティーニ嬢は何も悪いことはしていないからだ。被害妄想もいい加減にしないか。」




「こんな世界、私の知ってる世界じゃない!!どうして私の味方をしてくれないの!!」




ナルニエール様に止められたヒロインちゃんは、泣きながら教室から出ていってしまった。


ヒロインちゃんは、この世界が乙女ゲームのシナリオどおりに進んでいくと勘違いしているようだ。


ここは、現実なのに。


見ていればわかるだろう。


キャラクターの名前も容姿も同じだが、性格は少しずつ違うし、接し方で随分と違う対応になってくる。


だって、ここは現実なのだから。




これでヒロインちゃんの目が覚めればいい。


そして、人生を謳歌してくれればいいのに。ゲームにとらわれずに。ゲームとしてではなく、人生として楽しんで生きてほしい。




そう、猫様たちを可愛がりながら。








「私、気分が悪いので今日はお休みしますわ。レイン様、申し訳ないのですが先生にそう伝えておいてくださいますか?」




「ええ。わかったわ」




すぐ側にいたレイン様にそう告げると、私はヒロインちゃんを追って、外にでていった。


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