第2話 装備調達

「一応言っておくけど服着てないからね」

「え?えぇぇぇぇぇえええ!?」


 完璧に今気が付いた。服を着ていなかったのだ。この体ができたばかりなのだからそれは当然だろうし、尻尾を見たときにあまり気が付かなかった。


「君の名前はゼノン。ゼノン=シェフィードだ」

「ゼノン…。ありがとうございます!」

「何か欲しい物ってある?」


 なんて優しい魔王なのだろうか。


「ええと、魔剣みたいなのってありますか?魔力伝導率が高めの奴を」


 もとは農民だが隠れて魔法の修行をしていた俺は研究してきた。魔剣はミスリルと魔石の粉末を混ぜた剣の魔力伝導率をはるかに超えていることを。数値で表すならばミスリル+魔石粉末=魔力伝導率82%、魔剣=120%の様なものだ。


「あるよ、君にぴったりなものがね。はいこれ」


 魔王様はそういってネックレスを俺に渡した。しかし、これはただのネックレスではなく、宝石の部分は魔石の中でも魔力伝導率が魔剣よりあると言われている魔導核だった。因みに魔導核の魔力伝導率は160%だ。


「その魔導核に魔力を流してイメージすれば、それがイメージ通りの形に変わるんだよ。あとこれが服ね。行ってらっしゃい!」


 そういって彼女は部屋を出て行った。

 俺は受け取った服を身に着ける。服は白いロングコートで、俺の銀髪によく似ていた。ネックレスをして鏡を見る。そして俺が水色の瞳をしていることに気が付いた。

 ふっと自然に笑いがこぼれて出発の決意が定まった。


「さぁ、出発だ!」


 俺は大きく一歩を踏み出し、階段から転げ落ちた。

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堕転勇者と復活の大魔獣《レヴナント》~魔王に復活させてもらった村人の復讐譚~ 狼煙(アズ) @kuro2005

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