第432話 生きた対空兵器
キャプター機雷とは、普段は水中に
さっき《アクラ》が反転して逃げた時、水中に物体を投下する音が四回聞こえた。そのうち二つが通常魚雷。残り二つがこのキャプター機雷だったのだろう。
キャプター機雷はそのまま川底に沈みジッと待ち続けていた。《水龍》が通りかかるのを……
そして、《水龍》が近づくのを感知すると、待っていましたとばかりに魚雷を放ってきたのだろう。
至近距離から発射されたこの魚雷から逃れるには……
「ロンロン! ロケットエンジン点火! 《水龍》急速上昇!」
レイホーの号令の直後、床下から轟音が
今、《水龍》は、ロケットエンジンによって水面上に飛び出しているはず。キャプター機雷から逃れるにはもうこれしかない。
三十年前、カルカの技師たちは帝国軍のキャプター機雷から防御するために《水龍》にロケットエンジンを装備していたのだ。
しかし、《水龍》が飛べることを、今の敵は知っている可能性が大きい。
もし知っているなら、《アクラ》は対空戦闘装備を用意して待ちかまえているはず。実際に、《アクラ》からは二機のドローンが飛び立つのをレーダーで確認していた。
ドローンの目的は決まっている。
キャプター機雷に追い立てられた《水龍》が空中に飛び立つところを攻撃する事に……
それに対して《水龍》には空対空ミサイルなどから防御する
だが、エラのプラズマボールなら
だがら、この作戦にエラを生きた対空兵器して組み込んだ。
「水上に出ると同時に司令塔ハッチオープン」
レイホーが号令して、程なくハッチが開く。
「エラ。頼んだぞ」
「任せておけ」
エラがハッチから身を乗り出してプラズマボールを撃ちまくった。
「敵ドローン。空対空ミサイル四発を発射」
ロンロンの報告は想定通り。
ドローンから放たれたミサイルの群は、エラのプラズマボールが放つ赤外線に引き寄せられ、《水龍》からは逸れていく。
敵はさらに四発のミサイルを撃ってきたが、ことごとくエラのプラズマボールで迎撃された。
次はこっちの番。
「芽衣ちゃん。行くよ」
「はい。北村さん」
僕と芽衣ちゃんはハッチから空中へ飛び出した。
ロボットスーツのレーダーが敵ドローン二機を
映像を出してみると、菊花と同じくジェットドローン。すでにミサイルは撃ち尽くしている。
それでも向かってくるという事は、ドローンごと体当たりでもする気だろう。
そうはさせない。
僕は九十一式地対空誘導弾を構えた。
照準セット。
「ファイヤー!」
すぐに次のミサイルを装填して撃つ。
二発の対空ミサイルが、敵のドローンに向かっていった。
それに対して敵ドローンは
ミサイルは吸い込まれるように敵ドローンに命中。
無数の破片が夕日をキラキラと反射させながらマオ川の
次は……
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