第418話 損害状況1

 程なくして、損害状況がまとまった。


「それではご主人様。損害状況を報告します。《水龍》ソナー二機損傷。他に損傷なし。《海龍》ソナー一機損傷。他に損傷なし。両艦とも損傷部分は、自動修復機構によって三十分以内に修復が完了いたします」


 船体に、大きな損傷は無かったようだな。


「続いて備品の損傷ですが、《水龍》でお皿が十五枚割れました」


 だから陶磁器は持ってくるなと……


「それとレイホーさんが調理中だった鍋が倒れて、スープが台無しです」


 それは大損害だな。ていうか……


「レイホーは無事か? 火傷していないか?」

「レイホーさんは調理場を離れていたので無事でした」


 良かった。


「続いて《海龍》の備品ですが、食器類の損傷はありません」


 こっちにはプラスチック食器しかないからな。


「軽微な損傷がありますが……」


 軽微な損傷?


「何が壊れたのだい?」

「大して重要な物ではありません。気にかける事はないです」


 いや、気になるだろう。


「だから、何が壊れたの?」

「紹興酒の瓶が三本」

「ぬわにいいいい!」


 ドロノフの補給部隊が運んで来てくれた貴重な酒を……


 おのれ矢納課長許すまじ……食べ物の……いやいや、酒の恨みは恐ろしいという事を思い知らせてやる。


「損傷軽微ですね」


 いや、大損害だ。


「それと人員の方ですが」


 いかん、いかん。酒どころではなかった。


「負傷者が出たのか?」

「《水龍》で、ナージャさんが難聴を訴えています。防音イヤーマフとヘッドホンを、間違えた事が原因のようです」


 あちゃあ……まあ、そのぐらいなら直ぐに治るだろうと思うが……


「今、カミラさんが薬を調合してくれています。《水龍》では、他に負傷者はいません」

「良かった。《海龍》は?」

「ミクさんが、船酔いで寝込んでしまいました。今、ミーチャさんが付き添っています」


 発令所内を見回した。確かにミクの姿がない。そう言えば、トイレに行ったきり戻ってないな。あのまま寝込んでしまったのか。後で、様子を見に行こう。


「医務室でミクさんは『もう、潜水艦はやだよ』とうなされております。ミクさんが後退した事により《海龍》の戦力は十一パーセント低下」


 ガンタ○クかよ!

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