第417話 対消滅爆雷

 フーファイターの底面に穴が開いて、シリンダー状の物体がせり出してくる


『フーファイターのスペックを調べたなら、これがなんだか分かるな?』

「それは……対消滅ついしょうめつ爆雷!」

『その通りだ。これの威力なら半径一キロ以内にいる潜水艦は破壊できる。確かにフーファイターに潜水艦探知能力はないが、潜望鏡やフローティング・アンテナを見つけてだいたいの位置さえ掴めれば葬れるのだよ』


 そこまで言ったところで対消滅爆雷は投下された。


『俺からプレゼントだ。ありがたく受け取れ』


 その直後、メインスクリーンの画像が消える。


 フローティング・アンテナが破壊されて、ドローンから送られてくる電波が途絶えたのだ。


 フローティング・アンテナが破壊されたのに、その下にいる僕たちがなぜ平気かって?


 なぜなら、フローティング・アンテナの下にいたのは水中ドローンであって、《水龍》と《海龍》はそこから十五キロ下流の川底に着底し、水中ドローンとケーブルで繋がっていたのだ。


 これが逃げたと思わせるための小細工。


 僕たちはフーファイターが来る前に、ドローンのコントロールを水中ドローン経由に切り替えていた。そしてフローティング・アンテナを浮かべた状態で水中ドローンを上流に向かわせる事によって《水龍》《海龍》が逃走中だと敵に錯覚させたのだ。


 それは良いとして……


「総員、対ショック対閃光防御」


 十五キロ離れているとは言え、対消滅爆雷の衝撃が完全に消えるわけじゃない。時間差をおいて伝わってくるはずだ。


「ご主人様。ここは水中ですので対閃光防御は必要ありません」


 そうでした。いや、ついヤ○トのノリで……


「総員、対ショック対音防御」

 

 全員がシートベルトで身体を固定し、防音イヤーマフを装着する。


 しばらくして凄まじい振動が船体を襲った。


「うう! 気持ち悪いよう!」


 振動が治まった後、ミクが口を押さえてトイレへ駆け込む。


「Pちゃん。ミクに酔い止めの薬を用意しておいて」

「はい。ご主人様」

「それとロンロンとリンクして損害状況を報告してくれ」

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