2、ボクの神様自慢話!
ボクの神様はね、でっかいの!
手がほわほわしててね、ぷにぷにであったかくて、いつも目玉がきょろきょろ動いてて、今日一番の良い子を探してる。
ボクの頭を撫でてくれるときなんて、とても優しい声で話しかけてくれるぱっちりしたおめめのおっきな神様なの。
今日一番の良い子は誰ですか。あなたですか、ひょっとしてあなた、いえあなたかも。
そんなことを言いながら毎日街中をお散歩するんだ。ボクはその後ろをさかさかついてくよ。たまにひよこが後ろからついてきているみたいって言われるけど、気にしてたら負けだと思ってる。
神様は綺麗な指先で、ちっちゃい子からシワのよった杖をもつ人まで、ぴとぴと触っていく。今日一番の良い子を探してぺたぺたぎゅー。
あら、あなたは貝殻さんを拾ったのね、素敵なことをしたいい子。
まあまあ、お花さんにお水をあげたの。お腹いっぱいって言ってるわよ。お花にご飯をあげたとってもいい子。
あらら、なかよしの友だちを泣かせちゃったの? 悪い子ねえ、明日は良い子を目指してね。
きゃ! 人助けをしたのね、いい子すぎて涙が出ちゃう。
どうしましょう、今日も良い子がいっぱいだわ。
色とりどりの独り言を並べて、神様は今日も足取り軽く歩いていく。そよ風に飛び乗ってふわふわとスキップ、スキップあんどターン。嬉しいんだろうな、だって良い子がたくさんいるんだから。
おやおや、どうやら神様は今日一番の良い子を決めたみたいだ。ハニーヘアで長いまつ毛、てんてんとそばかすが頬にあるえくぼが可愛らしいお嬢ちゃん。
お嬢ちゃん、お嬢ちゃん。なにしたの、何したの。
おとうとくんにおもちゃあげたの。わあ、良い子!
自分も遊びたかったおもちゃなのに、ゆずってあげたんだって。わお、良い子!
自分は一旦ほっといて、ガマンして、誰かのためになにかをしてあげるってすごく良いことだよ。あれ、これって何かの論理?
そんなことは気にしない。だって神様は今日一番の良い子を決めているだけだもん。あっ、でも今日のはボクのツボかもしれない。良いことしたよって、まわりに胸を張って言えることだから。
神様はお嬢ちゃんをぺちぺち触って、あなたは今日一番の良い子ですよ、と頭を撫でた。
な、いいな。ボクも神様にあたまなでられたい。
それならボクも、明日の一番の良い子になれるよう頑張らなくちゃ!
まあ、ボクは神様のお偉い人だからね、いつでも頭撫でてもらえるんだけどね。
ふふん。
実はボクは、ちょーーーえらいえんま様なのです。どう、驚いた?
ボク、こういうドッキリ好きなんだよね。
今は神様見習いのこのボクより大きな神様に、神様としてなにをするべきかってのを教えてる最中なんだ。まだ教え始めて二週間と三日しか経ってないよ。でもこのボクのお気に入りっぷり、すごいでしょう。えんま様は神様みんなが大好きだからね。この神様もどの神様も大好きなの。
今日も今日とて今日一番の良い子をぴょんぴょんきめて歩いてく!
ちっさなえんま様は、おっきなことをするために、毎日まいにち忙しいのです。
さあ日付が変わったよ。また今日一番の良い子を探しにいこう、神様!
ちなみに、二週間と四日前までは、ボクのパパがこの仕事をしていたよ。そろそろ世代交代とかなんとか言ってボクが代わりにこの仕事をすることになっちゃったんだ。
だから、ボクもえんま様「見習い」なのかな?
わ、えらそーなこと言える立場じゃないね。
でも、神様の神様なんだから、ちょっとくらいおおめにみてあげてくださいな!
まだまだ見習いですが、神様共々、えんま様をよろしくです!
お題:可愛い神様
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます