小惑星籠

宮森 悠一

1、ユキ降る地方のとある朝、初床凍り


 床よ。

 何故お前は家の中なのにも関わらず、自分に都合の悪いものを両親に見つかり寒々しい視線を送られたときの如く、冷たいんだ。床よ。

 つるつるではないか。スケートに行きたいとか言い始めた昨日の自分を恨みたい。そういうわけでこの有様というわけではないのだが。

 私の住んでいるトコロでは、冬は冬でも極寒の冬となると、床が白く半透明一色となる。それはもうつるつるだ。

 力強く踏めばバリバリと音を立てて亀裂が入るし、部屋の端には霜がおりている。あとでカビが生えていそう。

「マフユー、学校に遅刻するよ」

 下の階から母親の声がした。いそいそと着替えて、床を華麗に滑る。文句無しの10点満点で、極め付けに滑りすぎてドアノブに脇を殴られた。今年もまた失敗か。

 本日二つ目の難関、階段そろり降り一人ガンバロウ大会。これは難なくクリアしてキッチンへ。

 朝ごはんを食べて、カバンを持って、さあ登校。

 私の地方は、そんな感じの冬の朝が毎年当たり前。


 さあて、今日も元気に滑ってこけるぞー!





お題:12月のつるつる


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