第14話 とある探索者の自室、本が開かれたままおいてある。
ソフィ・M・クラーク著 「ダンジョンについての考察」
P2〜P11
「はじめに」後半部分より抜粋ー
さて、ワタシの9ページにも及ぶはじめにを読んでくれてありがとう。
ダンジョンの素晴らしさや美しさをわかってもらえたと思う。
ここからはワタシの実地調査と研究によって立てられたある仮説を紹介しておこうと思うのだが。
その前にこの本を読んでくれている無知で勉強熱心な君の為にダンジョンの歴史を纏めてみた。
なに?、歴史など興味はないって?ああ、特にその視野の狭い考えに異論はないよ。
ただ勿体ないと思うだけだ。
何故って?キミは本当にワタシの前書きを最後まで読んでいたのかい?今、キミが生きているこの時代は確実に人類史に永劫に残るであろう重要な時代だよ。
今まで、夢物語の類だったものがある日、急に常識と変わる時代だ。この本を手にとったというのだから、キミは探索者、もしくはそれに興味があるのだろう。
なら歴史を知りたまえ。この短くも火傷しそうなぐらい熱を持った現代ダンジョンの歴史に敬意と興味を持ちなさい。
後世の歴史年表にキミの名前が載るかもしれないのだから。
さて、勉強熱心で思慮が足りないキミにも歴史の重要性が伝わったかな?
いや、まだ分かっていないだろうとは思う。だがワタシはそんな察しの悪いキミを憐れに思うこそすれど、絶望までは感じない。
何故ならキミは、この本を開いているからだ。理由などなんでもいい。本を読むということは、自らの未知を、無能を、無力さをなんとかして埋めようとするとても勇気ある行動だからだ。
それが出来るのはこの時代であれ人間だけだ。
少なくともキミはワタシの本を開いた時点で、まだこの本を開いていないその他の衆愚より一歩進んでいる。
それを誇りなさい、そして、学びなさい。
貴方が生き残る為に。
さて、ここからはダンジョンの歴史年表を少し見てもらおうと思う。
細かな注釈は後々のページに入れておくから後で熟読しなさい。
願わくば、貴方の名前がこの年表にいつか載ることを祈って。
ソフィ・M・クラーク
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