ハイネ

僕は小さい頃から孤児院にいる。親の顔とか全部覚えてる。何でかな。引き渡された時に見た親の顔が泣くような怯えるような顔をしていたんだ。その時は言葉を聞き取ることが出来なかった。でも本当に辛そうな顔だったってことは確かだ。

「ハイネ兄ぃ、どうしたの?物思いにふけて」

「あ……あぁ悪い。ちょっとな」

僕の妹分であるテレサに声をかけられハッとした。いつの間にか考えに浸りすぎていたようだ。

「テレサ、ハイネが物思いにふけるのはいつものことでしょ」

同い歳の少女、レイラがそう言った。

レイラは最近妙に楽しそうな顔をしている気がする。昔は本当に無愛想で関わりにくいやつだと思っていたけど。最近になって表情筋が硬いだけだって分かった。本人に言ったら怒られそうだけど。

「ハイネ、ちょっと話があるんだけどいい?」

「あ……あぁ」

もしかして思考がバレてたのか?

「ルーナもザックも来れるなら来て……あっやっぱりザックはいいや馬鹿だし。」

「おいこらてめぇ」

「本当のことだよ。ザック兄さん」

「サミュまでそれ言うのかよ……」

すまないザック、それはサミュに同感だ。

「それじゃ、図書館まで来て。」

レイラが淡々と告げ、ザックは完全に思考回路がショートしてる。


孤児院 図書館

「んで?話ってなんだよ」

一冊の本を持って目の前に立つレイラにそう言った。

「……これを見て。」

“これ”と指さされたのは法律の本のようだった。

「レイラこんな難しい本読んでるの……?」

ルーナそこじゃないだろ…と思いながら文章を朗読する。

『白髪、又は赤い目をした子を育てることを破棄せよ……白髪、又は赤い目をした子には力が秘められている。危険なのだ。』

は?って思った。でも直ぐに合点がいった。何故なら僕は覚えているはずのない親の顔を覚えているからだ。

「えっ嘘でしょ……じゃあ私にも力があるの??」

「うん……私にも……あったから」

レイラは目を瞑り集中する。するとレイラの影から茨が生えてきた。

「え……なにこれ」

「私もわからない」

「目を瞑ったり集中したりすると発動するから……レイラの能力は『眠りの茨』って呼ぼう。」

僕のは超記憶ってところか……ん?

「そろそろテレサが来るかな」

「え?」

「ハイネ兄ぃー?どこー?」

「やっぱり」

なんで分かったんだ……

「ハイネの能力は超記憶と超直感か……」

「えっ?」

僕の能力はふたつあることがわかった。

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