家出少年

走る。ただ走る。不思議と疲れてなかった。お腹も空かなかった。ああ、もう少し。もう少しで声の方角に着く。そう思うと更にわくわくして疲れなど感じる余裕がなかった。3日くらい走り続けたのかな。僕はある建物が見えてきた辺りで転んだ。横になったのがこれが初めてで、どっと疲れが出て、あまり動けなかった。少しづつ這って進んでいく。すると突然人影が現れた。

「ねぇねぇ、何してるの?」

青年らしき声に顔を上げる。声を発しようと思って口を開くが、「う……あ……」とかの単音しか出てこなかった。それを見て青年は

「あー疲れてるんだね……っと」

「うあ!?」

「疲れてんでしょー?アジトに連れてくよ」

ひょいと片手で持ち上げられて、肩に担がれた。そして、連れていかれたアジト(?)は事件のことで騒がれていたあの孤児院だった。

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