脱軍した者の一人語り
東の地~王都ソンヌ王国軍基地~
あたしはその日、訓練から帰ってきた時上司が話しているのを聞いた。
「8番隊はどうなっている?」
「はい、“本来の歴史の事など知らずに国の為に尽くしています”」
“本来の歴史”?それはなんなんだ。あたし達は知らない本当の歴史があるのか?
「そうか。最果ての地を東の地が支配しているということが知られたら大変なことになる。気をつけろ」
「はっ」
へぇ、あたしらの出身の孤児院は東の地が支配してたんだ。知らなかった。
この時はこの程度にしか思ってなかったんだ。
夜会
それは珍しく軍基地で夜会が開かれた日だった。あたし達8番隊以外は全員ベロンベロンに酔っていた。え?なんであたし達が酔ってなかったのかって?……それはね、8番隊全員酒に強かったからなんだ。おっと、話がずれたね。あの日あたしは大佐に絡まれてた。酒臭かったなぁ。あたしは当然拒絶したよ。そしたらさ、大佐は急に怒り出して「最果ての地の血を引いてるくせに」ってさ。その時あたしは全て覚ったよ。夜会を抜け出して軍の資料庫に行って最果ての地について調べた。そして分かったのが、此処は40年前に東の地によって支配されたんだって事。それと最果ての地の血を引く者の特徴が白髪か赤い目ってこと。軍でそれに当てはまるのはあたしら8番隊だけだった。だからあたしはその日のうちに隊長に話して、脱軍を決意したんだ。
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