事件翌日:最果ての地の孤児院

朝 祈りの間にて

「ねぇ、シスターが起きてこないよ?」

「神父様も起きてこないね」

「昨日の夜叫び声が聞こえたよ」

「何か関係あるのかな」

8歳から15歳までの少年少女達がそう言った。

そのうちの一人。

「僕が確かめてくる」

14歳になったばかりの少年、ハイネがそう言った。

「わっ私もいく!ハイネ兄ぃ!」

ハイネのことを兄として慕うテレサも行くと言っていたが、ハイネは無言で首を振り、

「テレサ、ここで待ってて?」

それだけ言って走り出した。


「神父様ー!シスター!もうお昼時ですよ!」

シスターや神父様がいる部屋に向かってそう大声で叫んだ。しかし、返事はない。仕方ないな。そう思い、扉を開けた。

「神父様!シスター!早くしt……」

目の前に広がっていたのは赤。床一面に赤いナニカが広がっていたのだ。錆びた鉄のような匂いもする。嗚呼、テレサを置いてきて正解だったな。神父様やシスターが死んでいるのに思ったことはそれだけだった。ふと血溜まりの中央を見やるとそこにはレイラが眠っていた。いや、眠っているというよりは気絶に近いのかもしれない。そんなことを考えているうちに軍隊が到着し、神父とシスターの惨殺事件はたちまち国中に拡がったのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る