家出

ちゅんちゅんという鳥の鳴き声で目が覚める。あぁ、もう朝なのか。急いで学校の準備をする。僕は一応王都の都立学校に通っている。ある程度の準備を終え、朝食を作る。そして作った朝食には手をつけずに学校へ行く。手をつけると怒られてしまうから。

「いってきます」

小さくそう呟き家を出た。


学校に着く。自分の教室に入った瞬間物を投げられた。そして「ギャハハハハ」と笑う男子たち。何も言わずにくすくす笑う女子たち。……本当に低脳だな。でも物を投げられたくらいどうってことは無い。チャイムが鳴る。今日はテスト返却日だったはずだ。


自分のテストの解答用紙をみる。まぁいつも通りだな。3桁の紙ペラを仕舞いこんだ。

「あいつまた100点だとさ」

「うわっバケモンだろ」

「バケモンだわ」

うるさい。黙れ。ざわざわとおかしな感覚に支配される。結局学校にも僕の居場所など無いのだ。


放課後

家へ帰ると珍しく母さんが居た。何故か包丁を持って。

「嗚呼、帰ってきたのね化け物。早く出て行けばいいのに。」

母さんは冷たくそう言った。出て行けるのなら出て行きたい。そう言おうとした。しかし、何も言えずに自室に戻る。口答えをしてはいけない。反抗してはいけない。破るとお仕置されるから。“ホら……早クこちらへいらっしゃい……”またあの声が聞こえる。その声を聞いているとここに居ることがバカらしく思えてきた。必要最低限の物だけ準備して出ていこう。そう決意を決めた。


翌日

いつもよりも早い時間に起き、朝食を用意する。そして家を出た。

「バイバイ。母さん」

そう言って声が導く方向へ歩き始めた。

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