第7話 純麗
施設から抜け出したあと、私は彼と出会った。
今にも死にそうな目をしていたから、なんだかほおっておけなくて、話しかけた。
彼に、私のことを話したら怒った。
半分くらい、言ってることが分からなかったけど、なんだか、私の為にこんなに怒って泣いてくれた人なんていなかったから嬉しかった。そして、私のことを綺麗だ。と言ってくれた。
彼と、太陽と約束をした。
一緒に幸せになるって。
いつか、出会えるって。
そして、さよならした。
施設で暮らすには、私らしくいることはダメだった。
(それでも、太陽と約束を果たすんだ)
そう、心で何度も思い、我慢した。
動物をいじめる人がいても知らん顔をした。
施設の人に叩かれても笑って過ごした。
彼と会うんだ。彼と約束を果たすんだ。彼が来るんだ。
でも、心はだんだん死んでいった。
彼は全然迎えにこなかった。
もしかして、約束を忘れて幸せになったのかも?
そして、施設を追い出された。
「絶対死なないで」
ごめん。太陽。もう、限界なんだ。
やっぱり私。この世界と生きていくことなんてできないよ。
本当にごめん。疲れちゃった。
せめて、最後に
「太陽に会いたかったな。」
山の奥へ入っていく。
途中で、人影が見えた。首をつっていた。
「....死んでる」
腐敗が進んでいて、ウジが湧いて人間の形を何とか保っている状態だった。この人も、この世界に合わなくて、死んじゃったのかな?
「今度は、いい所にいけるといいね」
礼をして、彼女はさらに奥へ進んで行った。
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