第6話 真実
「みつけて、しまったのね...」
純麗は泣いていた。
「どうしてな、、の、、?」
目の前の首吊り死体は、ぶらん。と、力なく吊るされてる。
泣き崩れる純麗。
あぁ...思い出した。
全て、思い出した。
「たいよう.....どうして自殺なんてしたの...?」
そうだった。僕は自殺したんだった。
父が死んだ日。
僕も自殺した。
母は小さい頃、僕を置いて逃げた。
それからは地獄だった。
毎日父から殴られた。
泣いても泣いても辞めてくれなかった。
それでも、僕にとって父さんが全てだった。
僕は、絵を書くのが好きだった。絵は、僕を表してくれる。僕の存在証明になる。絵しかなかった。しかし、絵を描いてる僕を見た父は気味が悪いと殴った。でも、好きだった。
僕は父さんに好きだよの意味を込めた絵を描いて、プレゼントした。
だが、その日はいつもより何倍も殴られ続けた。生死をさまようくらい。
そして、逃げるように出ていった。
悲しかった。
苦しかった。
もう。死んでしまおう。
そう思っていたら、
「どうしたの?」
女の子が話しかけてきた。
「私!純麗っていうの!!初めまして!!」
「君、顔も服もボロボロだよ?大丈夫。」
初めて君とあったんだ。
その後、純麗と話をした。
純麗は本当の自分でいようとした。
その結果、皆に嫌われてしまった。
私の存在を否定されたと。
そして、施設へ行く途中に、逃げてきた、と。
僕と似ている気がした。
「でも、私も悪かったのかも。もう嫌われるのは怖いし、これからは、皆が思ういい子になろうって思うんだ。」
違う。
違うよ。
「君は、純麗ちゃんは、そのままでも全然変じゃない」
「え?」
「だって。周りの奴らは、いつも本当の心を出さない!みんなが皆同じなんだよ?その代わり、殴ったり、いじめたり、陥れたり、それでも、顔はずっと笑ってる。そんな人間が!!!!世界が、おかしいんだよ。」
「純麗ちゃんは何一つおかしくないよ!!自分らしくして何が悪いの!!どうして自分らしく生きようとしたらダメなの!?どうしてそこまで攻められなければならないの!?」
「それでも、純麗ちゃんは自分らしくいれた。純麗ちゃんは、とっても純粋で真っ直ぐで、とても綺麗だよ。」
溢れた感情が心から流れでた。
きみはただ、きみでいようとしただけ。
それだけなのに、周りの世界は、僕や、彼女を受け入れてくれない。
「....ありがとう。」
純麗は泣いていた。
「あなたは、私の存在を認めてくれるんだね」
「うん。君はそのままが1番綺麗だよ」
「...ねぇ。私、また施設に戻るの。施設で少し頑張ってみる」
「そっか」
「君は、どうするの?」
「僕は.....」
「僕は画家になるよ。まだ小さいし、お金もないから。もう少し父さんのところで頑張ってみる。」
「そっか」
「あのさ」
「なに?」
「きっとね。迎えに行くから」
「うん。」
「そしたら、」
「うん。」
「一緒に幸せになろう」
「え!?」
「純麗ちゃんと一緒にいることが僕の幸せなんだと思う。初めてあったのにこんなに心地いい気持ちなんだ。だから、この約束果たすまで、絶対死んじゃダメだよ?」
「...うん!!!約束!!!」
「うん!絶対ね!!」
「そういえば、君の名前ってなんていうの?」
「僕?太陽っていうよ。」
「太陽、、、ぴったりな名前!!」
「純麗だってお似合いだよ?」
「えへへ?ありがとう!!」
「うん!!」
「じゃあ、またね」
「またね」
そして、お互い、自分の帰る場所へ帰った。
そのあと、僕は帰ったらまた、父さんに死ぬほどなぐられた。
でも、彼女との約束があったおかげで耐え抜いた。
高校へは行かず、働き始めた。
父からの暴力は途絶えることはなかった。が、
約束もしっかり覚えていた。
お金がある程度たまり、父に内緒で出ていった。
そして、その日から働きながら画家を目指した。
もちろん、生活は厳しかった。
そんな中絵を書いた。一番最初の作品は、あの子、「純麗」を描いた。コンテストに優勝したおかげで何とか安定した生活ができるようになった。
(純麗に会いたいな。)
ふと、浮かんだ。
もう少ししたら探し出そうとしていた。
手紙が届いた。
父からだった。
「おまえにあいたい」
その手紙を見た僕は急いで父の元へ向かった。
父は、痩せほほっていた。
あれだけ怖かった父が、弱々しくなっていた。
「と、父さん。」
返事はなかった。
きっと、ろくな食事をしていないせいだろう。
「うぅ、、、」
苦しそうな呻き声をあげていた
「父さん!!!」
「...太陽か....」
初めて、名前を呼ばれた気がした。
「太陽。」
「何!父さん!!」
「お前なんか、いなければよかったんだ」
「え?」
「お前の本当の父親は、画家だったんだ。
出ていったお前の母親と出来たのがお前なんだよ。太陽。」
「そして、お前の親父はな、お前のお母さんと心中したんだよ。」
「お前だけ残してな。」
「お前さえ生まれなければ、よかったんだ。お前が笑顔で俺に絵を見せてくる度殺してやりたかった。」
「お前のその絵だって。あいつの血を受け継いでる証明だ。」
「お前なんて誰もすきになってくれない。そのまま、誰にも認められないまま死んでいくんだ。ざまぁみろ」
そして、父は死んだ。
気づけば僕は、山にいた。
ロープをもって。
「最後に、純麗にあいたかったな」
そして、自殺した。
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