第4話 記憶
旅行から帰り、早速茶封筒を探したがどこにも見つからなかった。そんな、大切な封筒なら捨てるはずがないのだが、、
もしや、あの封筒には、父が僕に伝えたかったことがかいてるのでは?
が、やはりどこを探しても出てこない。
「ごはんたべよ!たいよう!」
「あっ!うん」
真剣に茶封筒を探す僕を見て、ニコッと笑った。
「ねぇ、見つからないと思うよ?茶封筒」
「なんで?」
「だって、私来た時部屋色々荒らしたけどそんなのなかったもの」
「そうかぁ、、」
「それに、ひどい父親だったんでしょ?思い出さなくてもいいんじゃない?」
え?
「思い出したって、いいことないって!それより!過去のことなんか忘れたままにして、今から楽しい思い出つくっていこうよ!」
僕は真剣なんだ。確かにひどい父親ではあったが、父親は父親だ。彼女なりに僕を心配しいていってくれたのだが、僕は心に余裕がなかった。
「なんでそんなこというんだ。そもそも!すみれがあそこに連れていかなければこんなことにはならなかったんだろ!?」
すみれが驚いた顔をした。
そのあと、悲しい顔をして
「ごめんね。」
と呟いた。
こんなことは今までなかった。
ごめんね。すみれ。
夢を見た。
どこか、暗闇で何も見えなくて
でも、進むしかなくてただ歩いてた。
歩いていた先に人影が見えた。
嬉しくて嬉しくてその人影に向かって走っていった。
やっとたどり着いて絶望した。
その人影は首をつっていた。
顔は...
「「うわぁぁぁぁぁぁぁああ!?!?」」
「たいよう!?どうしたの!?」
「今、首吊り死体が、、、」
「え!?!?な、なんで、そんなのどこにもないよ!?」
「え?、あ、あれ?」
「たいよう...きっと疲れてるんだよ。ごめんね。私があの町に行こうなんて言ったから、もう、彼を探すことも諦めるよ。だから、ごめんね。」
泣きながら僕に抱きついてきた。
あまりにも、生々しい夢だった。
何が1番怖いかって、あの首吊り死体。顔がよく見えなかったけど、すみれみたいだった。
「ねぇ、すみれ」
「なに?」
「君はちゃんと、生きてるよね」
「!!!」
「い、生きてるから、ここにいるんだよ?たいようだって生きてるから私に触れられるんでしょ?」
「だよね、ごめん。」
「ううん、大丈夫!そうだ!気晴らしに散歩でも行かない?」
「うん、、、」
すみれに言われるがまま、散歩をすることになった。
「2人で出かける散歩って楽しいねぇ!」
「そうだね」
外に出ると少し落ち着いた。
が、今でも鮮明に頭に残る首吊り死体。
どうも引っかかる。
「そこのおふたりさん。」
声の先を見ると、占い師がいた。
「あーこれよくテレビでみるやつだね!」
「占ってあげましょうか?」
僕は占いなんて信じなかった
「いいです。そういうの信じられないし。」
「そうですか、ではこれだけは伝えておきます。」
「?」
「霊に取り憑かれてますよ。強い思いがあるのね。気を付けなさい。連れていかれるわよ。」
霊?
「それどういうことだ!!!」
それ以外喋らなくなった。
「行こう!!!!」
すみれが逃げるように僕の手を引っ張った。
「あんなのデタラメだよ!あーあ!せっかくの楽しい散歩してたのに!!」
ニコニコとこっちを見るすみれ。
あの町に行って以来、すみれは過去のことに触れるのをやめた。
もし、もしも、彼女があの場で自殺していたら?
彼に会いたいという未練もあった。
そう思うのは僕の精神状態がおかしいからか?
でも、あの時出会った時すでに死んでいたら?あの夢は夢なんかじゃなく現実だったら?
真実を見に行かなくては。
僕は彼女と出会ったあの場所へ向かうことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます