第3話
『トマト~~~~!!!我のトマトはどうなっておるっ!?』
マリアとプーちゃんの涙について話しているとプーちゃんが飛んできた。
まさに噂をすればなんとやらである。
プーちゃんは先ほどまで王都へ行っていたこともあり疲れてベッドで眠っていたのだが、回復したようだ。元気にトマト畑の中に突っ込んでいった。
瑞々しく真っ赤に熟れたトマトがたわわに実っている。
それにプーちゃんはかぶりついた。
『やっぱり旨いのだ!トマトが食べれない日々は地獄であった・・・。』
トマトの美味しさを実感しているようである。
じぃぃぃ~~~んとした表情をして、トマトを握り締めながらしばし固まっている。
「あ、マユたちが王都に行っていた間に収穫したトマトは保管庫にいれてあるからね。まさか、魔力の最大値が上昇するトマトなんて簡単に人にあげることもできないし・・・。」
「ありがとう、マリア。助かったわ。トマトはプーちゃんに全部処理してもらいましょう。でも、少しくらいなら食べても大丈夫かな?」
やっぱり自分で育てたトマトってとっても甘くて瑞々しくて美味しかったし。
思い出すとむしょうに食べたくなってきたかも。
「いいんじゃない?だって、ここのトマトは全部マユのものだわ。マユがどうしたいか決めるといいわ。」
「じゃあ、マリア。一緒に食べない?ここにはプーちゃんがいるから保管庫のトマトでもいい?」
今のプーちゃんはトマトを独り占めしそうな勢いだし。
保管庫にもトマトがあるのならばそちらを食べてしまおう。
どうせ、保管庫に入れておいても劣化しないのだから、収穫してすぐに保管庫にしまったのであれば、採りたての新鮮なトマトのままだ。
って、いうかプーちゃんさらに魔力の最大値あがっちゃって大丈夫かな・・・。
もう最強の生物になってないだろうか。
そもそも精霊の卵を産んじゃうくらいだから生物なのかもあやしいが・・・。
「そうそう。もうヒマワリも収穫できそうよ?でも、プーちゃんの涙がかかっているから普通のヒマワリじゃなくなっているかもしれないけれど・・・。」
マリアがそう言って教えてくれたので、ヒマワリを見てみると私たちの背丈を少し越えたくらいの大きさのヒマワリに成長しており、輝くほど眩しい黄色の大きな花をさかせていた。
「ほんとうだ。綺麗だね。」
「そうね。」
なんらかの効果が付与されている可能性もあるからすぐに収穫して買い取ってもらうのは抵抗がある。ここは、鑑定をしてみないとね。
【かれないヒマワリ
枯れることがないヒマワリ。また刈ることもできない。
竜の涙により、かれないヒマワリとなった。
効果として周りにいる生物を癒す働きがある。死んでしまっていては効果がないが瀕死の状態なら回復する。】
「ぶっ・・・。」
「マユ、汚い。」
ヒマワリの鑑定結果に思わず噴きだしてしまった。
枯れないし刈れないって、もうずっとここに生えているしかないじゃん。このヒマワリ。
しかも傍にいれば瀕死の状態でも回復させることができるってどんな効果よ、コレ。
プーちゃんの涙こわい。
「このヒマワリ収穫できないらしいです。」
「えっ?どういうこと?」
マリアも驚いている。
そうだよね。ふつうヒマワリとかのお花って切花としてお部屋に飾ったりプレゼントしたりするよね。
ヒマワリもよくお花屋さんで見たことあるし。
「枯れないし、刈れないって鑑定結果がでているの。あと近くにいると癒してくれるんだって。瀕死の状態からでも回復するらしいよ・・・。」
「・・・なによそれ。聞いたことないわ。」
マリアも絶句して固まってしまった。
何回も言うが、プーちゃんの涙おそるべしである。
このヒマワリもあまり他の人に教えない方がよさそうだ。
トマトといいヒマワリといい、人に言えないことが増えていくなぁ。
『マユ~~~!!助けてぇ~~~!!』
マリアと二人でヒマワリを見つめて遠い目をしていると、ボーニャが悲痛な声を上げて駆け寄ってきた。
「どうしたのっ!?」
「みゃあみゃあ。」と泣き叫んでいるからとても心配になる。
どうしたのかと、ボーニャの頭を撫でた。
ん?ボーニャ口に何かを咥えている?なんだろう?
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