第31話


食堂の隅にある、持ち帰り専用の人用に用意されている椅子に座る。

店を見渡すと、知っている人もいるが知らない人も圧倒的に多い。


この村の人じゃないのかな?


旅装束のような人もちらほらいる。


・・・観光?


でも、この小さな村に観光場所なんであるのかしら?


ぽけーっと見渡していると「お待たせ」という声と共に、サラさんがマーニャたちのご飯を持ってきてくれた。

おお、持ち運びしやすいように、箱に入っているようだ。

でも、ビニール袋のようなものはないようで、白い箱だけを手渡された。


「ありがとうございます」


私はその箱を受け取ってお礼を言う。

マーニャたちが目を輝かせる姿が思い浮かぶ。

思わずにっこりと笑ってしまう。


「まだ、三ヶ月くらいの子猫でしょう?栄養価高めにしてあるわ。子猫のときはいっぱい栄養価の高いものをあげてね」


「はい。ありがとうございます。ところでサラさん。この村には観光場所があるのでしょうか?この食堂の中を見ていると旅をしてきたような格好の人がちらほらといるのですが・・・」


「ああ、この村の近くにダンジョンがあるの。そこに行く人たちよ」


ダンジョン!?

ダンジョンっってあのダンジョン!?


この世界にダンジョンがあったことに驚く。なんでもありの世界なのだろうか。


「ダンジョンって何ですか?」


「んー?自然に発生した洞窟みたいなところかしら?中には強いモンスターがいるの。でも、不思議なお宝が眠っていたり、他の場所では見られない食材が採れたりするのよ。だから、ダンジョンに入る人は多いわ」


やっぱり、よくあるゲームで見かけるようなダンジョンだったようだ。


「そこって私みたいなのでも入れるんですか?」


「入れるわよ。一階部分なら子供でも安全な場所なの。階層が深くなると強いモンスターが増えてくるから、鍛えてからでないと入ってはダメよ」


「ありがとうございます」


一階なら子供でも安心なのか。

どんなところなんだろうダンジョンって。

子供の頃にRPGをプレイしたことがあるから、余計気になる。

今度、入ってみようかな。


「そうそう。ダンジョンに入るなら、猫様たちを連れていくといいわよ」


「え?マーニャたちを??」


そんな階層が増えるにつれ危なくなるような場所にマーニャたちを!?

信じられずに聞き返してしまった。

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