第32話
「あら?知らなかった?猫様たちはダンジョンの中でも安全よ。だって、初代女王様が猫様たちには危害をくわえられないように魔法をかけたもの。」
「猫ってすごいんですね・・・」
この世界、なんだか猫がすごく優遇されているような気がする。
ダンジョンに入って、モンスターと対峙しても安全だなんて。
猫様様ですね。
「マユちゃんが、決心したらダンジョンに潜ってみてもいいんじゃない?猫様たちを連れていけば安全よ。よほどのことがない限りは大丈夫だから」
「ええ。そのうちにでも・・・。」
いくらマーニャたちとダンジョンに入れば大丈夫だと言っても、モンスターに相対したいとは思えない。
どんなモンスターかもわからないし、怖いというのが本音だ。
しかし、この世界の猫はチートな気がする。
私は、サラさんにマーニャたちのご飯の代金を支払うと、食堂を後にした。
サラさんから渡された箱からは美味しそうな匂いが漂ってきている。
マーニャたち喜んでくれるといいな。
「ただいまー。今日はダンさんが作った美味しいご飯だよー。マーニャ、クーニャ、ボーニャ出ておいでー」
サラさんから受け取った箱の中には小さなお皿に盛られた猫用のご飯が3つ入っていた。
どうやらこの世界にはプラスチック容器というものもないらしい。
あったら、わざわざお皿に入れないよね。
というか、このお皿返した方がいいんだよね?
私は、箱から猫のご飯が入ったお皿を3つ取り出すと、いつもマーニャたちがご飯を食べている保管庫の前に置いた。
すると、マーニャたちが勢いよく家の中に入ってきた。
「「「にゃぁ~ん♪」」」
どうやら、気に入ったようで嬉しそうな鳴き声が聞こえる。
3匹ともそれぞれの器に頭をつっこむと、ガツガツと食べ始めた。
その3匹の猫のしっぽはゆらゆらと嬉しそうに揺れていた。
他のことに気をとられずに、一心不乱にご飯を貪っている。
私が、マーニャの背中を撫でても全く動じない。
クーニャのしっぽをツンツンしても一向に食べるのを止める気配がない。
ボーニャの顔を間近から見つめてみてもまったく気にしていない。
どうやら3匹を夢中にさせるご飯だったらしい。
3匹が美味しそうに食べているのを見ると買ってきた私もとても嬉しくなってきた。
また、買ってこよう。
そう心に決めたのでした。
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