第30話
それから、私はマリアから料理の猛特訓を受けた。
・・・マリアってば可愛い見た目に反して、かなりスパルタだったことをここに記しておく。
午前中はすっかりマリアの家で料理の修行をする時間になってしまった。
でも、そのお陰でいつの間にか調理のスキルレベルが50を越えていた。
レベル一気にあがりすぎ。
でも、お陰で卵は片手で割れるようになりました。
「マユのレベルの上がりかたは異常・・・。」
「私もそう思うよ・・・。」
本当に、普通こんなにレベルがパカパカ上がらないでしょう。
どうなっているんだろう、私のスキル・・・?
「午後からはどうするの?もっと料理の仕方教えようか?」
えっ!?
さすがにもう今日はいいです。
マリアったらスパルタすぎて怖いんだもの。
額にたらーんと汗が垂れそうになる。
「一旦家に帰ろうかと思うの。マーニャたちにご飯あげなきゃいけないし。まだ植えていないゴマを植えてみようかと思って。」
「そうなの。わかったわ。また今度料理の勉強しましょう?マユに教えるのは楽しいわ。飲み込み早いし、でもすぐに追い越されそうね。うふふふふ。教えがいがあるわ。」
そう言ってマリアは「ふふふ。」と笑った。
なんだか、その笑みが怖いんだけれども気のせいだろうか。
私はマリアの家を出て、食堂に向かう。
たまにはマーニャたちのご飯を食堂で作ってもらったご飯にしようと思って。
「こんにちわー。」
そう言って私はダンさんとサラさんが営んでいる食堂に入っていった。
食堂にはちょうどお昼ということもあって、人がそれなりに入っていた。
村に一軒しかない食堂はけっこう賑わっているようだ。
私は、マリアの家で嫌っていうほど作らされた料理を食べたからお腹は空いていない。
「あら、マユちゃんいらっしゃい。好きなところに座って。」
お盆で料理を運んでいたサラさんが私に気づいて挨拶をしてくれた。
すごいなぁ。両手に重そうな料理を持っている。サラさんの腕、細いのにどこにそんな力があるのだろうか。
ついつい見とれてしまう。
「あの、今日はうちの猫たちのご飯をもらおうかと思って・・・。」
「まあ、そうなの。猫様たち喜ぶわね。3匹だったっけ?今、用意するわね。」
サラさんはとても優しい笑みを浮かべている。サラさんも猫がとても好きなようだ。
両手に持った料理をテーブルに運んだサラさんは、厨房に入っていった。
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