第29話


罰ゲームのような朝食をマリアに食べさせてしまった。

特に、スクランブルエッグは最悪だっただろう。


「「ごちそうさまでした」」


それでもなんとか食べ終えた。

可もなく不可もなくそれが私の料理。


「マユって、お母様に料理習ったりしなかったの?」


「・・・うーん、まあ。昔は手伝ってはいたんだけどね。就職してから10年間はまったく料理してなかったんだ」


「そうなの。それで、この出来だったらまあまあかな。」


褒められて嬉しいのか、悲しいのかわからない。

だって、私マリアより年上だよ。

年上なのに料理がこんなにも苦手だなんて。


「調理スキル極めてみたら?」


「うーん。考えておくよ。まだ何をやりたいのか決まらないし」


「そう。ゆっくり決めればいいと思うよ」


「うん」


私、いったい何がしたいんだろうな。

この世界で私はいったい何をしたらいいんだろう。


鑑定スキルもあるし、

農耕スキルもあるし、

調理スキルもある。


こんなにスキルがあるのだから、何にだってなれるような気がするけれど。

私自身は未だに何を極めたいのか、何を仕事にして生活したいのか決めきれていな

い。


「調理スキル極めるにしても極めないにしてもここで暮らしていくのなら自炊はでき

た方がいいよ。

 だから、これから時間があるときに調理の仕方教えていくね。」


「ありがとう」


確かに私の知っている料理のレパートリーは少ない。

覚えていて損はないだろう。

それに、今後自分で作らなければならなくなるのだろうから、レパートリーが広がる

ということは飽きがこないということだ。


「で、マユ?調理のレベル上がってたりする?」


言われて、ステータスを確認してみる。

上がってる・・・。

でも、これってあり得るのだろうか・・・?


「・・・上がってる。調理Lv 20だって」


「・・・はあ?上がりすぎっ!!」


いきなり10もレベルが上がってしまった。

やっぱり上がりすぎなのか。


・・・バグ?


それともやっぱり、よくある異世界転生のチート仕様か???




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