第17話
「肥料あげないと育たないよ?」
「肥料はどこで手に入るの?」
肥料が必要なことはわかったが、肥料はどこで手に入れることができるのだろうか・・・。
「肥料はローズさんのところで購入できるよ?もしくは魔道具を購入して、そのなかに草や野菜やお肉、お魚などを入れておくと肥料にすることもできるよ。でも、まずはローズさんのところで購入するのがいいかもね。まだ畑の面積少ないし。あ、刈り取った草は畑に穴を掘って埋めておくといいよ。」
「そうなんだ。ありがとう。うーん、じゃあ、肥料を買いに行かなきゃ植えられないかぁ。」
折角、ひまわり植えきっちゃえるかなと思ったのに。
しゃがんでいた姿勢から立ち上がると、腰に痛みが走った。
「痛っ・・・。」
腰を押さえると、マリアが覗きこんできた。
「ありゃ。マユって元の世界で畑仕事したことなかったの?農作業は結構力いるからね。魔道具でちょちょいってやってしまえば簡単なんだけど、マユの場合、購入できないからなぁ・・・。」
「・・・大丈夫、ゆっくり体をならしていくから。それより、肥料を買いに行こう。」
「無理しないでね?」
私は、マリアと一緒にローズさんのところに肥料を買いに行くことになった。
「ローズさん。肥料ちょうだーい。」
「あいよ。ああ、マユいらっしゃい。肥料がなかったのかい。初心者なら万能肥料がいいかな?万能肥料だったらどんなものにでも使えるよ。」
ローズさんはそう言って、白い入れ物に入った肥料を見せてきた。
「いくつ必要だい?」
「いくつ必要なんだろう。どのくらい肥料を混ぜていいのかわからないんです。目安ってありますか?」
「そうだね。だいだい5m四方で1つかね」
5m四方で1つか。
ヒマワリだけなら一つで足りそうだけど、ほかにもいろいろあるからなぁ。
「とりあえず、3ついただけますか?」
「あいよ!3つで1500ニャールドだよ。一つあたり10キロだが持てるかい?」
合計30キロか。
意外と重いなぁ。
困ったなぁと思っていると、マリアが横から
「大丈夫です。肥料袋持ってきましたから。」
「そうかい、なら肥料袋にいれとくね。」
肥料袋ってなんだろうと思いながら、お金を払う。
「ローズさん、ありがとうございました。」
「こっちこそ毎度あり。また買いにきてよ。」
「はいっ!」
私たちはローズさんの店を後にした。
「ねえ、マリア。肥料袋って何?魔道具?」
万能肥料を購入して、家に帰る道すがらマリアに尋ねる。
ちなみに、肥料はマリアが持っている。
全然、重そうに見えない。
「あたり。魔道具だよ。
私のこの今背負っている鞄と同じなの。」
「どうして、鞄とわけて使っているの?」
マリアの鞄と同じってことは入る容量もそれなりに大きいはず。
別に鞄の方に肥料を入れたっていいと思うんだけど・・・。
「あはは。マユって肥料が何から出来ているかしっている?」
ん?肥料??
「何から出来ているんだろう・・・?」
「ローズさんのところで取り扱っているのはいろいろあるけど、主に鶏糞や牛糞、骨粉とか使用しているよ」
「えっ!!糞!!そんなの鞄と一緒のところに入れられない!」
「あはは。まあ、発酵しているけど、入れたくないよね。だから専用の肥料袋が用意されてるってわけ」
肥料が糞から出来ているなんて知らなかった・・・。
それなら、鞄の中には入れられないよね。
なんとなく、納得。
って、これから糞を触らなきゃいけないの!?
思わず愕然とする。
そりゃあ、加工してあるけどさでも、元は糞でしょ・・・。
「ふふふっ。そんなこと心配していたら畑なんて出来ないよ?
それに、手袋を買えばいいんじゃないかな?」
「あ、手袋か・・・」
私の思考を読んだマリアが教えてくれる。
確かに直接触るのは抵抗があるけど、形はないわけだし、手袋ならなんとかなるだろう。
でも、手袋ってどこに売っているのかしら?
というか手袋も魔道具だったりするの?
「手袋はどこに行けば購入できるの?」
「ザックのやってる雑貨屋だよ。案内するね」
マリアはそう言って楽しそうに笑いながら、私を雑貨屋に案内してくれた。
ザックさんがやっている雑貨屋に着いた。
なんだか、雑多な感じで物が置かれている。
「ザックー。」
「いま、お兄ちゃんは留守だよー。王都まで仕入れに行ってるのー」
とてとてと店の奥から10歳前後の女の子がやってきた。
ツインテールの桃色髪・・・。くりくりの目。なにこの子可愛い。
思わぬ可愛い子に出会ってしまった。
「アンナちゃん、こんにちはー」
「あー!マリアちゃん!!こんにちはー」
にこにこにこにこ。
アンナちゃんと呼ばれた子が嬉しそうに笑っている。
この可愛い女の子はアンナちゃんというらしい。
「手袋買いに来たんだけど、ザックいないと無理かな?」
「だいじょーぶ!アンナが売ってあげるわ。ふにぃ?この人だぁれ?」
そこで、私に気づいたようで、アンナちゃんの真ん丸な目が私に向けられる。
うぅ、可愛い。
「マユっていいます。こないだから、村に住まわせてもらっています」
「あー!知ってるー!!おじぃが言ってた!異世界からの迷子が来てるって。それがマユちゃんなのー?」
迷子?
迷子って言われると微妙だけど・・・。
「そう、異世界からきたマユです。仲良くしてね」
「うん。友達ーね?」
どうやらアンナちゃんはとても人懐っこい子のようだ。
可愛いし、誘拐されないか心配だ。
「ん。手袋ー!手袋おいでー」
ん?おいで?
手袋って呼んだら来るんだっけ?
って、きたーっ!飛んできたー!!
「いいこいいこなのー」
「と、飛んできた・・・」
「マユったら、ビックリしっぱなしだね。アンナちゃんは魔法が使えるのよ。しかも、物を自在に操る魔法が使えるの。便利だよねー。しかも、呼べば来るって面白いよねー」
「魔法ってすごいね・・・」
さすが異世界。
ビックリ箱のようです。
「これ、魔法の手袋。何をさわっても、熱くも冷たくもないのー。火でも燃えないし、どんなに冷たくても凍らないのー。お値段?んっと・・・100万ニャールドって書いてあるのー」
買えない!!
てか、誰が買うのその手袋!!
「ごめんね。まだ今はお金がないから、それは買えないの。5000ニャールドくらいまでで何かないかな?」
「そっかー。ビンボーなのね!」
・・・っ!
この子可愛い顔して、結構きつい事言うなぁ。
「じゃあー。おいでー」
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