第15話
マリアの助けを得て、なんとかスープを作り終わった。
コンロの火加減はとても苦労した。とだけ伝えておこう。
意外と難しかった。
それ意外の調理器具は、魔道具ではなくごくごく普通の調理器具でした。
でも、魔道具な調理器具も存在はしている模様。まあ、一般家庭にはほぼ出回っておらず、料理人などが主に使っているそう。
「料理を作るのがこんなに大変だとは思わなかったわ。」
ポロリと感想が口から零れる。
「ふふふ。マユって意外に不器用だったのね。コンロにこんなに翻弄されている人初めてみたわ。」
「・・・言わないでください。」
ただの火力調整なのに。
「冷めないうちに食べましょう。」
「「いただきます。」」
日本もこのレコンティーニ王国も食事の前に「いただきます。」と食材に感謝することは一緒だった。
マリアと、夕飯を食べる。
日本にいたころは仕事が忙しくて、独り暮らしの私は誰かとご飯を食べるという機会は2~3ヶ月に一回程度だった。
それ以外はスーパーのお総菜だったり、お弁当屋さんのお弁当だったり、コンビニのお弁当だったり。
料理を作るという機会がほとんどなかった。
一人分を作るのであれば、お弁当を買った方がいろんなおかずが入っていて安上がりだったのだ。
意外と食材を集めるのには金銭がかかる。家族がいる人はそれでも、お弁当を買うより全然安いのだが、お一人様には一つ一つの食材の量が多いので量はいっぱいできるけど、食べきれずにダメにしてしまうことが多いのだ。
そんな理由をつけて、日本にいたころはずっとお弁当やお総菜を買ってきて食べていた。
料理が苦手だったっていうのもあるけど。
そんな私生活を送っていたから、マリアと一緒にご飯を作って(スープだけど)、一緒に食べるというのは新鮮で、とても心暖まるものだった。
私、意外と寂しがり屋だったのね。
「美味しい。」
素朴などこにでもあるスープだけれども、それがどんな料理より美味しく感じた。
マリアはそんな私を優しく見つめていた。
気づくと、マーニャたちも、机のまわりに寄ってきており、私をチラチラと見ながら、毛繕いをしたり、ゴロンとよこになったりしていた。
「いっぱい食べましょう。」
「うん。」
明日からまたマリアにいろいろと教えてもらいながら、異世界生活を楽しもう。
そうして、異世界2日目は過ぎていった。
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