第14話

「マリア。この家なにもないけど、ご飯食べていってよ。昼間アンさんがくれたパンがあるから、一緒に食べよう。一人で食べるのは味気ないわ。」


「ありがとう。よかったら私がスープを作るわ。」


「でも、材料がないの。」


マリアの提案はありがたい。でも、肝心のスープの材料にするものが何もない。

困ったように首を振ると、「くすくす」とマリアが笑った。


「忘れちゃった?私のスキル?」


「あ!もしかして、私がご飯を食べていってというのも事前からわかっていたのね。」


「そう。だから、簡単な材料は持ってきたわ。」


そう言ってマリアは今日あった時からずっと背負っていた布で出来た鞄をそっとテーブルの上に下ろした。

マリアの持ってきた鞄からはニンジン、玉ねぎ、ベーコン、ブイヨンらしきもの、塩、胡椒、トウモロコシなどなどが出てきた。

よくその小さな鞄から、そんなにいっぱい出てきたなぁと感心する。

というか、物理的に無理だよね?

だって、鞄マリアの手のひらサイズだよ?

私、ずっとその中にはお財布だけ入っていると思ったんだから!・・・って この世界お財布って概念がなかったんだった・・・。


「ふふふ。これ、魔道具なの。この中にはね、見た目以上の容量が入る上に、重さを全く感じさせないの。不思議よね、魔道具って。」


「はあ。そうなんだ。さすが異世界、理解不能なことがおこるわ。」


「さあ、料理を始めましょう。」


調理器具は元々この家に用意されていた。見た目は普通の鍋やフライパンに見えたけど、これも魔道具だったりするのかな?


スープを作るので、小鍋を用意する。初めて使うので、軽く水洗いする。


コンロに火をかけて………。


「って、火どうやって点けるの!?」


思わず叫んでしまった。

日本にあったように、ポチってするスイッチも、ボタンもない。

どういうこと??


「あ、そっか。マユの居た世界と勝手が違うのね。こっちのコンロはね、こうやって指でコンロを指差して「えいっ」ってするの。」


マリアがコンロを指差してから指を軽く上下に振る。

そうすると、火がボッと点いた。


「ね?点いたでしょ?マユ、そっちのコンロに火を点けてみて?」


「うん。」


マリアがやったように、コンロを指差して上下に軽く振る。


ボッ!!


「きゃっ!!」


「あ、マユ。火力強すぎっ!」


なにやら異世界のコンロは取り扱いが難しいようです。

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