第13話
「安心して、マユ。この子たちは鶏が逃げそうになったらこうして捕まえて来てあげるよって言っているんんだよ?だから大丈夫。」
マリアが私が心配していたことを的確に教えてくれる。
マリアってすごいなぁ。 この子たちが言っていることがわかるなんて。
尊敬の眼差しでマリアを見つめている。
するとマリアが少しだけ寂しそうに笑った。そうして、自分を指差す。
「私のステータスを見てみて?」
「うん。」
マリアの許可を得てマリアのステータスを確認する。
【名前’マリア
職業;動物調教師
スキル;聴覚 Lv346
誘惑 Lv159
予知 Lv200
料理 Lv99 】
なんかすごそうなスキルが並んでいるんですけど・・・。
「聴覚に誘惑に予知?」
「そう、それぞれのスキルの詳細をみたいと思ってみて」
【スキル;聴覚
耳が人よりよくなる。
レベルが上がれば人や動物が心の中で思っていることも聞くことができる。】
【スキル;誘惑
対象相手に自分に好意を抱かせることが可能。
レベルが上がれば、どんな種族も誘惑できる】
【スキル;予知
未来のことが予知できる。
レベルが上がるほど予知の制度が上がる。ただし、予知できるのは必ずしも知りたいこととは限らない 】
「見た?」
「見た」
「私ね、このスキルのおかげで動物たちの言っていることがわかるの。みんなが何を思っているのかもわかってしまう。便利なようで不便。」
「そうだね」
思っていることがすべて筒抜けってことは生きづらいだろう。きっと聞きたくないことも聞いてしまっている。
「聴覚スキルはね、常時発動しているともいっていいの。だから、私は王都にはいけない。村から出てしまえば、どんなことが聞こえてくるのかわからない。それが怖い」
動物の考えていることがわかることはとても羨ましい。でも、人間の考えていることまでわかってしまうのは残酷なことだ。
動物と違って人間は複雑な思考をしているから態度とその人の本当の感情が一致していないことも多々ある。
田舎の村だからみんな表裏がないからいいのかもしれない。
王都がまだどういうところかわからないけど、日本の東京みたいなところだったらきっといろんな人の思いが聞こえて辛いんだろうな。
マリアはスキルのお陰で、苦労しているんだなぁ。
スキルは必ずしもいいものとは限らないんだ。サラさんの調理器具破壊スキルしかり。
しかし、マリアのスキルは大分チートスキルのような気がする。
猫と会話ができるなんて羨ましい。
「マリア、私はマリアの味方だからね。人の心の声が聞こえてしまったって、マリアは私に優しくしてくれた。
ねえ、マリア。これからマーニャたちが思っていることいろいろ教えてほしいな。マーニャたちが何を考えているか知りたい。
そして、マーニャたちが過ごしやすい暮らしを提供したいの。
・・・手伝ってくれる?」
「・・・もちろんよ!もちろんよ!マユ!!ありがとう」
マリアはこれからも変わらず、私のサポートをしてくれるらしい。
私が王都に行くまで、サポートしてくれるらしい。
そうこうしているうちに日が暮れてきた。
マーニャたちにご飯をあげなければ。
「マリア。マーニャたちにご飯をあげなきゃいけないから、一旦家に入るね。マリアもよかったら来て?」
「そうね!マーニャたちのご飯あげなきゃね」
私たちは家の中に入り、ドライフードにウェットフードをトッピングしたものを3つ用意した。
そして、まだ外で遊んでいるマーニャたちを呼ぶ。
「マーニャ!クーニャ!ボーニャ!ご飯だよー」
外に向かって叫ぶと、玄関脇の小さな猫用のドアから競うように3匹の猫が入ってきた。
どうやらお腹が空いていたようだ。
用意したご飯にかぶりついている。
美味しいのかなぁ・・・。
「美味しいって言っているわ。それに、美味しくないわけないわ。このご飯はね、王宮の料理人たちが作っているの。猫の好みを十分に調べあげて作り上げているのよ。
しかも、猫たちが飽きないように定期的に味が変わるの」
「へぇー。流石、建国時の女王が無類の猫好きだったから、猫のご飯にも凝っているのね」
「ええ。猫のことに関してはこの国は世界一を誇ることができるわ。だって、この国は猫のためにできたようなものだもの」
「すごいね。猫のために国を作ってしまうなんて」
「そう、とてもすごい方だったのよ」
初代女王ってどんな人だったんだろう。
ちょっと会ってみたいな。
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