第9話
お昼をマリアと一緒にとって、美味しい食事でお腹もいっぱいになった。
そうすると、家に置いてきてしまった猫たちの様子が気になってきた。
猫たちもそろそろご飯を食べたい時間だよね。
まだまだ子猫と呼んでいい時期だし、いっぱい食べさせなきゃ。
「サラさん、ダンさん、ご馳走様でした。お会計をお願いします」
「あら、ゆっくりしていっていいのよ」
「いえ、家に猫たちを待たせているので」
そう告げるとサラさんは「そう」と笑顔で頷いた。
「猫様には敵わないわね。今日は御代はサービスするわ。
だから、たまには食べに来てね。
猫様たちも連れてきて大丈夫だから。
猫様ようのご飯もメニューにあるのよ」
そう言って、サラさんは壁にかけてあるメニューを指差す。
本当だ。
【猫様のご飯(子猫用):100ニャールド
猫様のご飯(成猫用):100ニャールド
猫様のご飯(シニア用):80ニャールド】
ライフステージに合わせて三種類用意されているようだ。
お魚が好きな子とかお肉が好きな子とかもいるらしくて、好みによって配合を変更し
てくれるようだ。
たまには、手作りのご飯を食べさせてあげるのもいいかも。
「ご馳走様です。今度は猫たちも連れてきます。
とっても可愛い姉妹猫なんです」
「村長のところにいた、3匹の姉妹猫様なんだよ。
あのお転婆娘たち!」
「まあ、あの子たちがマユさんのところに行ったのね。」
「ご存知なんですか?」
マリアが猫たちのことを知っているのはわかるとして、サラさんも知っているんだ。
驚いてサラさんを見つめる。
どうも、うちに来た猫様は有名なようだ。
「知らない人はいないわ。だって、あの眷属神ナギ様の血筋だもの。
大事にするといいことがあるわよ」
「ナギ様って?」
「うふふ。その内会えるわよ」
なにその含み笑い。
気になるじゃないですか。
眷属神って神の使途のことだよね。
なんだかすごい猫様を預かっているような気がしてきた。
大事にしなければ。
家までマリアがついてくることになった。
昨日あまり詳しく説明できなかったから少し説明してくれるとのことだ。
わからないことだらけでありがたい。
特に、種や苗を買ったけれども、畑を耕すクワもなければ、水をまくジョウロもない。
それに肥料もない状態だ。
家に着いて、ドアを開ける。
猫たちはどこかなぁと家の中に入り、狭い家の中を探すが猫たちは見つからない。
「どうしよう!マリア。猫たちがいない!!私、ちゃんとに鍵を閉めて戸締まりしたのに!!」
猫たちが見つからなくて半狂乱になっている私に、マリアは優しく諭すように、私の背を撫でる。
「大丈夫よ。猫様たちはここが家だと決めたら必ず帰ってくるわ。この村の家はね・・・というよりこの国の家はね、猫様専用の出入り口があるのよ。そこから出ていったんじゃないかな。」
専用の出入り口そんなところが・・・。
するとマリアは玄関のドアの横を指出す。
「ほら、ここよ。ここに15㎝四方のドアがあるでしょ?」
そこには確かに小さなドアがついていた。
指でつんつんすると確かに開閉する。
「そっか。よかった。」
「今、一生懸命遊んでるんだと思うよ。マユが帰ってきたってわかったら跳んでくるかも。マユ、外にでて猫様たちの名前を呼んでみてくれる?」
「ええ、わかったわ。」
私たちは家の外に出た。
見渡す限りは庭と荒れ果てた畑が見えるだけで、猫たちの姿は見えない。
本当に、呼んだら来るのだろうか。
村長さんの家に帰っていたりしないのだろうか。
不安は残るが、マリアの言うとおり名前を呼んでみることにした。
「マーニャ!クーニャ!ボーニャ!」
すると庭のあちらこちらから「にゃあ!」という元気な返事が返ってきた。
「え?どこ??」
返事は返ってきたのに姿が見えない。
じっと目を凝らしてみると、草がガサガサと揺れ、小さな耳が覗く。
「あ、マーニャ。」
あの虎柄の模様はマーニャだ。
続いて、隣の草むらがガサガサ揺れ、ボーニャとクーニャが顔を見せた。
それから競い会うように、3匹がかけよってくる。
よかった。
「ほら、ちゃんとに帰ってきたでしょ。頭のいい子達なのよ。撫でて誉めてあげてね。」
マリアのいうとおり、近寄ってきた猫たちの頭を順番に撫でる。すると、ゴロゴロと気持ち良さそうに喉をならす3匹の猫。
撫でていると、ふと何かが手にあたる感触がした。
なんだろうと、手にとって見つめてみる。
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