EINHERJER
毬藻
00_プロローグ
「おお勇者よ、死んでしまうとは情けない・・・」
「・・・は?」
流川一世(ルカワイッセイ)は突然の事態に混乱していた。
―――な・・・なんだ?夢か?
モコモコがついた赤マントに、キンキラキンに輝いている派手な冠・・・どこからどう見ても王様な老人が目の前に座っているという意味不明な状況。
さらに周りを見回すとポッチャリ体型の人物や、バッチリと甲冑を着込んで槍を片手に微動だにしない兵士たち。上の方には目がチカチカするような金のシャンデリアや燭台が置かれ、足元には丁寧な刺繍がされたカーペット・・・。
まるでゲームか、もしくは中世を舞台にした映画のワンシーンにでも立たされているような、とにかくベッタベタな謁見の間の光景が一世の目の前に広がっている。
「・・・どうしたのだ?問題が無いのなら行くがよい」
―――???
夢ではお決まりの「ほっぺをギュー」をしてみても、しっかりと頬は痛いし景色は変わらない。
しかもそんな一世の様子に目の前のコテコテな王様たちは頭を捻り、ここがどこかも分からないのに「行け」と言う。
「あの・・・どこに行けと?」
一世は頬を押さえながら目の前の、いかにもな恰好をした王様らしき老人に聞いた。
「勇者が行く先など決まっておる。魔王討伐の旅だ」
全く意味がわからない返答が返ってきた。
何もかもがつい数分前と違ってしまっているこの環境に、一世は茫然とするしかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます